共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2022年3月

日中バイリンガル幼児のコード・スイッチングに見られる普遍的制約

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K02670
体系的課題番号
JP17K02670
配分額
(総額)
4,550,000円
(直接経費)
3,500,000円
(間接経費)
1,050,000円

今年度は、前年度までに行った国際学会での発表を踏まえ、論文の執筆に専念した。
投稿中の論文のうち、1本は日本語の「の」と中国語の「的」助詞の性質を、コードスイッチングの面から比較した。その結果、「の」は文の主要部が日本語のときに現れるのに対し、「的」の出現はランダムであった。このことから、「の」は文の構成と深く関わるOutsider System Morpheme で、「的」は単なる連結形態素であるという統語的な違いを明確にした。
もう一本は、言語心理学的にバイリンガルは2つのコードを同時に活性化しているという事実を踏まえ、生成文法における併合操作が、Chomskyが考えるほど単純なものであってはならないことを、データをもとに主張するもので、事実と理論のバランスが取れた研究となっている。Chomskyは強いミニマリスト仮説に基づき、Mergeをシンプルに保つため、Parallel MergeやSideward Movementを否定するが、同時に活性化した2つのコードが融合する事実を踏まえれば、これは強すぎる仮説であると言わざるを得ないのである。
準備中の論文については、一本は、分散形態論の立場から、コードスイッチングの分野で有力な4-M Modelを批判しつつ、形態論を発展させることを試みている。特に語内部のコードスイッチングに関しては、幅広いデータを説明できたと考える。
もう一本の論文(準備中)は、フェイズに基づくSpell-outがコードスイッチングの境界であることを示すことを試みている。
最後に研究分担者は、高省略に関する論文を国際的な雑誌に発表している。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K02670
ID情報
  • 課題番号 : 17K02670
  • 体系的課題番号 : JP17K02670

この研究課題の成果一覧

論文

  2

講演・口頭発表等

  1
  • 中本 武志, 呉 蘭
    The 8th International Conference on Formal Linguistics 2018年11月24日 Chinese Association of Formal Linguistics