共同研究・競争的資金等の研究課題

2001年 - 2002年

ランタノイドトリフラートを触媒として用いたベンジル型アルコールの直接置換反応:カルボカオチン中間体への面選択的反応

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究(B)  若手研究(B)

課題番号
13771342
体系的課題番号
JP13771342
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
1,700,000円
(直接経費)
1,700,000円

昨年度の研究から、光学活性体を得る方法として、ジアステレオ選択的な結晶化が有効なことが明らかとなった。すなわち、1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフトール(1)をカチオン生成側のベンジル型アルコールに用い、求核試薬としてl-メントールとの反応を行った場合はl-メンチル(R)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフチルエーテル(2)が収率70%、100%deで得られている。しかしながら2は有用な生成物とはいい難く、応用性に欠けていた。
そこで今回、1-フェロセニルエタノール3をカチオン発生側に用いた検討を行った。フェロセン誘導体は不斉配位子として有用である。また、フェロセニルエチルカチオンは、鉄のd軌道電子の供与によりカチオン構造の固定が起こり、脱離基に対し立体保持で求核剤との反応が進行する。
ラセミ体3をニトロメタン中La(OTf)_3を触媒として用い各種求核剤との反応を行った。2-メチルフラン、アリルトリメチルシラン、ヒドロキシナフトエ酸メチルエステルなどは、フリルフェロセン誘導体4、アリル化誘導体5、ナフトールオルト位がフェロセニルエチル化された生成物6などを収率良く与えた。光学活性3と2-メチルフランとの反応を同様に行うと、光学純度を損なうことなく4が得られた。これまで知られている立体保持での反応例は、3のアセテートを用いて反応を行っている。今回、アルコールからの直接置換反応が可能であることが示された。
次にジアステレオ選択的結晶化を利用した光学活性フェロセン誘導体の合成を検討した。3とl-メントールとの反応は、1との反応と同様に平衡反応と考えられる。乾燥剤としてMS4Aを加えることで収率の向上が見られた。しかしジアステレオ選択的な結晶化は見られず、TLCによるジアステレオマーの分離も困難であった。今後はその他の光学活性求核剤を用いて、結晶性、分離性を検討する予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-13771342
ID情報
  • 課題番号 : 13771342
  • 体系的課題番号 : JP13771342