共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

超高圧縮応力を内包した金属基圧電複合材料の機能発現メカニズム解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
17H03141
体系的課題番号
JP17H03141
配分額
(総額)
18,070,000円
(直接経費)
13,900,000円
(間接経費)
4,170,000円

金属コア圧電ファイバ/アルミニウム複合材料(Piezo-Al)は,複合化時に生じる極めて高い残留圧縮応力下でも圧電性を発現する他に類の無い圧電複合材料であるが,この圧縮応力下での機能発現に関して不明な点が多い.当該年度では,そのメカニズム解明のため,下記の項目を実施,検討した.
1)Piezo-Al中の圧電ファイバは複合化時に圧縮熱残留応力が負荷される.この圧縮応力が圧電ファイバの分極にどのような影響を与えているかを検討するため,分極状態の評価を検討した.Piezo-Alは円筒型コンデンサ形状をしており,従来の圧電材料分極評価手法では正確な評価ができない.そのため,ペレット状の材料物性値を圧縮応力下で計測できるシステムを構築し,物性値の評価が可能となった.加えて,FEM解析において,複合化プロセス時に生じる残留応力の算出を行い,約1GPaという極めて高い圧縮応力が圧電ファイバ-マトリックス界面近傍に生じることが確認された.この結果は先行研究による実測値とよく一致していることから,良い精度で実験を再現できており,解析による評価の目途が立った.
2)複合化された圧電ファイバは圧縮応力により破断強度が向上する可能性が示唆されている.この圧縮応力による機械的特性向上を評価するため複雑な構造を持つPiezo-Alではなく,単純構造を持つ圧電セラミックス/アルミニウム複合材料を作製し,3点曲げ試験により圧電セラミックスの強度を確認し,ワイブル解析による統計的な処理を行った.この結果,複合化により形状母数は4.3から10.9へ,尺度母数は106MPaから161MPaへそれぞれ向上しており,定量的に圧縮応力が機械的特性に及ぼす影響が確認できた.しかしながら,評価した試験片が10個程度と統計的には少ない試料数であったため,試行回数を増加させ,ワイブル解析の精度を向上させる必要がある.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17H03141
ID情報
  • 課題番号 : 17H03141
  • 体系的課題番号 : JP17H03141