論文

2015年12月

「元様式青花瓷はいつまで生産されたか」

高志書院『中国陶磁 元青花の研究』
  • 高島 裕之

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現在一般的に認識されている元至正様式青花瓷は,「至正型式」,「明初至正型式」に分けられる。至正型式の製品は14世紀第1四半期には誕生し,明時代に入っても,その生産がなたで切断したように途切れるのではない。一時の断絶を経て,引き続き同じ技術で作ることが可能であるという生産の容易さを求め,至正型式の製品が継続して作られたと考えられる。これは受容先の要望にも答える形となった。いっぽうで明初様式(洪武・永楽型式)との影響関係により,文様の混在する明初至正型式の製品も併行して作られる。そして遺跡での出土状況から,元様式青花瓷流通の最盛は明初にあると推測できる。古琉球のグスク,トローラン遺跡など複数の遺跡の出土例がそれを立証している。

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