2006年
有用細菌(乳酸菌等)の全ゲノム塩基配列決定,比較ゲノム解析および有用遺伝子の機能解明(第4報) (平成17年麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
麻布大学雑誌
- 巻
- 13
- 号
- 開始ページ
- 318
- 終了ページ
- 324
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 麻布大学
我々は,Lactobacillus reuteri JCM 1112^T, Lactobacillus fermentum IFO 3956, Lactococcus garvieae(ブリに対する毒性株), Lactococcus garvieae(ブリに対する無毒株)およびLactobacillus rhamnosusの全ゲノム解析を完了した。そして,Bifidobacterium breve, Bifidobacterium bifidumおよびBifidobacterium catenulatumについては,全ゲノム配列を決定中である。プロバイオティクスとは,"宿主の健康に対して貢献する生きた微生物"と定義付けられている。本プロジェクトでは,L.reuteriのプロバイオティクス効果を分子レベルで解明することを目的としている。そこで,分類学的にL.reuteriと近縁であるにもかかわらず,プロバイオティクス効果のほとんど認められないL.fermentumについても全ゲノム解析を行った。両菌種の比較ゲノム解析の結果,L.reuteriのゲノムには,抗菌物質であるロイテリン合成系にかかわる遺伝子の48kbの"genomicisland"を有しており,哺乳動物の腸内フローラバランスに良い影響を及ぼしていると推察された。我々は,glycerol dehydratase subunit motif(PFAM PFO2286-PFO2288)として,L.reuteriゲノムに3つの遺伝子(LR1633-LR1635)を検出し,gupCDE(glycerol utilizing enzymes)と命名した。本研究では,そのgupCDE遺伝子破壊候補株(L.reuteri Δ gupCDE)を得て,PCR解析やglycerol dehydratase酵素活性などから,L.reuteri Δ gupCDEを認めた。今後,親株(L.reuteriJCM1112^T株)とL.reuteri Δ gupCDEのそれぞれノトバイオート(モノアイソレート)マウスを解析して,プロバイオティクス効果を明らかにしていく予定である。
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 1346-5880
- J-Global ID : 200902224221334695
- CiNii Articles ID : 110006391545
- CiNii Books ID : AA11561468