共同研究・競争的資金等の研究課題

2014年4月 - 2016年3月

H3K9脱メチル化エピゲノムによる生殖細胞の機能制御

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
26112509
体系的課題番号
JP26112509
配分額
(総額)
10,400,000円
(直接経費)
8,000,000円
(間接経費)
2,400,000円

ヒストンH3の9番目のリジン残基(H3K9)のメチル化修飾は、転写が抑制されたクロマチンの代表的なエピジェネティックマークであり、その触媒酵素や認識分子は、分裂酵母から ヒトに至るまで高度に保存されている。我々は過去の研究成果によって、H3K9のメチル化修飾が生殖細胞の様々な 分化の過程で大きく変動することを見いだしていた。本研究では、その生理的な意義を明らかすることが目的とし、H3K9脱メチル化酵素Jmjd1a/bの生殖細胞特異的な遺伝子改変マウスを作出し、その表現型解析を行った。
Jmjd1a-KO; Jmjd1b-WTでは精子の伸長過程が阻害されていた。これは、通常方法によるJmjd1a全身欠損マウスの表現型と一致していた。このことは、Jmjd1a-KOマウスにおける精子形成不全の表現型は、体細胞側の機能不全ではなく、生殖細胞側の機能不全に起因することを示している。一方でJmjd1bの遺伝子量による影響を調べるため、下記遺伝子型の精巣の組織解析を行なった。Jmjd1a-KO; Jmjd1b-Hetの生殖細胞の分化を調べた結果、Jmjd1a-KO; Jmjd1b-WTより表現型の重篤化が観察された。具体的には、殆どの生殖細胞で減数分裂が完了せず、減数分裂前期で生殖細胞の分化が停止していた。Jmjd1a-WT;Jmjd1b-KOとJmjd1a-Het; Jmjd1b-KOの表現型を比較した結果、後者は前者に比べて精子数の減少が観察された。これらの結果からJmjd1aとJmjd1bには、遺伝的に相乗的相互作用があることが明らかになった。さらに、Jmjd1a/bの双方が完全に無くなった場合の生殖細胞の分化を解析した。Jmjd1a-KO; Jmjd1b-KOの精細管には半数体細胞、減数分裂期細胞、精原細胞のいずれの生殖細胞も存在していなかった。これにより、Jmjd1aとJmjd1bは雄性生殖細胞の維持に必須であることが明らかになった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-26112509
ID情報
  • 課題番号 : 26112509
  • 体系的課題番号 : JP26112509