MISC

2002年

三次救急医療機関の機能を評価する指標の開発と今後の課題

日本救急医学会雑誌
  • 益子 邦洋
  • ,
  • 有賀 徹
  • ,
  • 上嶋 権兵衛
  • ,
  • 山本 修三
  • ,
  • 坂本 哲也
  • ,
  • 井上 徹英
  • ,
  • 鈴木 荘太郎
  • ,
  • 梅里 良正
  • ,
  • 伊藤 弘人
  • ,
  • 前田 幸宏

13
12
開始ページ
769
終了ページ
778
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.3893/jjaam.13.769
出版者・発行元
Japanese Association for Acute Medicine

わが国では医療機能評価機構による第3者評価が広く行われているが,三次救急医療の機能評価に関する臨床評価指標(クリニカルインディケータ)は未だ得られていない。日本救急医学会「診療の質評価指標に関する委員会」では,三次救急医療機関の機能を評価する指標を開発し,その妥当性を検証した。対象は本学会指導医指定施設および救命救急センター159施設であり,平成11年4月~6月に診療した単独頭部外傷,腹部外傷,内因性の来院時心肺停止(CPAOA),急性心筋梗塞,喘息大発作について,予め設定した10の臨床評価指標を回答者に伏せた形で調査を実施した。次に4つの指標を抽出し,特定機能病院の有無,本学会専門医制度資格の有無,専任医師数,有効症例数との関係を分析した。回答施設は80施設(50.3%)で症例数は4,860であり,内訳は,内因性CPAOA 1,607例,単独頭部外傷1,473例,急性心筋梗塞1,122例,腹部外傷458例,喘息大発作200例であった。検討の結果,評価指標の内,単独頭部外傷での来院からCTまでの時間,ショックを伴った腹部外傷での来院から手術までの時間,内因性CPAOAに対する動脈血ガス分析施行率,内因性CPAOAに対する救急外来での一次蘇生率,急性心筋梗塞での来院から血栓融解・再灌流療法までの時間,急性心筋梗塞の死亡率,の6つは適切であったが,JCS30以下の頭部外傷死亡率,収縮期圧70mmHg未満で24時間以内に死亡した腹部外傷の非開腹率,腸管単独損傷の死亡率,CPAOA以外の喘息大発作の死亡率,の4つは不適切と考えられた。施設属性別の検討では,症例数が多い施設ほど,少い施設に比べて,プロセス評価やアウトカム評価が優れていた。以上より,今回開発した指標のいくつかは,三次救急医療機関の機能を評価する上で有用であると考えた。今後の課題は,より有用な評価指標を開発すると共に,疾病登録制度等を整備し,症例データを収集する仕組みを作ることである。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.3893/jjaam.13.769
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/10010223501
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN10284604
URL
https://jlc.jst.go.jp/DN/JALC/00161549226?from=CiNii
URL
http://search.jamas.or.jp/link/ui/2003165605
ID情報
  • DOI : 10.3893/jjaam.13.769
  • ISSN : 0915-924X
  • ISSN : 1883-3772
  • CiNii Articles ID : 10010223501
  • CiNii Books ID : AN10284604

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