共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2020年3月

金属錯体を微生物の細胞表面に固定化した高選択的バイオハイブリッド触媒系の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
18H04651
配分額
(総額)
10,400,000円
(直接経費)
8,000,000円
(間接経費)
2,400,000円

社会から要請される複雑な物質群を高効率かつ選択的に変換する触媒系を開拓することは、最重要課題の一つである。金属錯体触媒に、生物がもつ多様な分子環境を融合すれば、未踏の選択性を達成すると期待される。本研究は、多彩な反応性をもつ金属錯体触媒と、精緻かつ多様な反応場を提供するバレル型タンパク質を融合したバイオハイブリッド触媒を構築し、従来にはない位置選択性・官能基選択性・基質選択性を付与した触媒系を開拓することが目的である。さらに、バイオハイブリッド触媒部位を細胞表面提示した人工微生物触媒を作製し、金属錯体の反応場と網羅的かつ高速に探索可能な実験室進化の手法と組み合わせ、タンパク質反応場を最適化し、困難な反応選択性を示す触媒を開拓する。本年度は、反応性の高いシクロペンタジエニルロジウム錯体を固定化したバイオハイブリッド触媒を活用し、非対称内部アルキンを基質とする位置選択的なイソキノリン合成を実施した。また、ロジウム近傍にカルボキシル基を変異導入により配置することによって、触媒活性が向上することも見出しており、タンパク質反応場のチューニングの有効性も実証した。このような探索を迅速化するために、バイオハイブリッド部分を表面提示したホールセル触媒系の構築に取り組んだ。細胞表面との連結を円滑にするために、ロジウム錯体の配位子の最適化を検討して、種々のチオール系配位子を試した結果、ジチオリン酸配位子で空配位座を保護したロジウム錯体では、タンパク質ホストと連結後に金属塩添加により脱保護を伴い、ロジウム錯体を再活性化可能であることを見出した。このバイオハイブリッド触媒は、硝酸銀存在下においてオキシム及びアルキンの付加環化反応において触媒活性を示すことも明らかにした。

ID情報
  • 課題番号 : 18H04651