2019年12月
咬頭嵌合位が安定しない症例に対する咬合分析の試み
日本総合歯科学会雑誌
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- 巻
- 11
- 号
- 開始ページ
- 86
- 終了ページ
- 90
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 日本総合歯科学会
歯質損耗により咬頭が失われた咬頭嵌合位が安定しない患者の修復,補綴治療を咬合分析を用いて適切な顎位を模索しながら行った症例を報告する。患者は66歳,男性。左下奥歯の形が気になるとの訴えがあったため,治療について検討した。口腔内所見では,両側臼歯部の損耗に伴う咬頭喪失および咬合面の平坦化がみとめられた。これにより象牙質が露出していること,咬頭の喪失により咬頭嵌合位が一定の位置に定まらないことから咬合分析を行い,安定した咬頭嵌合位を模索したうえで修復,補綴治療を行うこととした。咬合分析はアンテリアジグ,リーフゲージ,チンガイダンス法の3つの方法で咬合採得し,それらを比較することによって行った。それぞれの方法により得られた顎位は完全には一致しなかったが,1ヶ所に収束する傾向がみられた。そこで,収束点を基準に暫間補綴装置を用いて咬頭嵌合位の再構築を行い,経過を観察した後に最終修復,補綴装置の製作,装着を行った。本症例において複数の方法を用いて咬合採得を行い,その結果を比較,検討しながら治療を進めたことは,失われた咬頭嵌合位を回復するために有効であったと考えられた。(著者抄録)
- ID情報
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- eISSN : 2189-938X
- 医中誌Web ID : 2020149524