MISC

1998年

小児重症紫斑病性腎炎に対する血漿交換療法の有効性とその限界

日本小児腎臓病学会雑誌
  • 此元 隆雄
  • ,
  • 服部 元史
  • ,
  • 甲能 深雪
  • ,
  • 川口 洋
  • ,
  • 伊藤 克己

11
2
開始ページ
139
終了ページ
145
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.3165/jjpn.11.139
出版者・発行元
一般社団法人 日本小児腎臓病学会

紫斑病性腎炎 (HSPN) に対する血漿交換療法 (PP) の有効性とその限界を明らかにする目的で,PP単独療法を実施した小児重症HSPN17例 (男女比: 10/7,発症年齢: 8.1&plusmn;3.2歳) の臨床経過をretrospectiveに検討した。PP治療開始時には全例で高度蛋白尿 (4.7&plusmn;2.5g/m2/日) がみられ,うち11例で腎機能低下 (51.6&plusmn;14.1ml/min/1.73m2) が認められた。発症からPP開始までの期間は平均76.1&plusmn;86.5日であったが,うち11例は発症後2カ月以内にPPが開始されたのに対し,1例は発症後1年以上経過してからPPが開始された。PP開始直前に実施された腎生検では,半月体/分節性病変形成率は平均71.8&plusmn;11.1%であった。PPは導入療法として週3回の割合で2週間,その後週1回の割合で6週間,合計12回を目途に実施した。PPの短期的治療効果 (治療開始3カ月後) として,発症後1年以上経過してからPPが開始された1例を除く16例で有意な蛋白尿の減少 (1.2&plusmn;0.7g/m2/日,p<0.01) が,また同様の1例を除く10例で明らかな腎機能の改善 (89.9&plusmn;14.0ml/min/1.73m2,p<0.01) が認められた。長期的治療効果として治療開始3カ月以降の蛋白尿の推移を検討したところ,(1)蛋白尿が引き続き減少し最終的に陰性化した群: 蛋白尿消失群 (n=11) と,(2)蛋白尿が再び増加した群: 蛋白尿持続群 (n=6) の2群に分かれた。蛋白尿消失群のなかで腎機能が低下した症例はなかったが,蛋白尿持続群6例中3例が透析導入に至った。透析導入例のうち1例はPPによる短期的治療効果がみられなかった症例であった。PPは小児重症HSPNに対して有効な治療法である。しかし,PPによる大きな効果を得るためには,発症後早期から実施することが肝要である。一方,疾患活動性が長期にわたり持続する症例に対しては,ステロイドや免疫抑制剤による後療法の必要性が示唆された。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.3165/jjpn.11.139
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130002114572
URL
http://search.jamas.or.jp/link/ui/1999094797
ID情報
  • DOI : 10.3165/jjpn.11.139
  • ISSN : 0915-2245
  • ISSN : 1881-3933
  • CiNii Articles ID : 130002114572

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