共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年6月 - 2020年3月

ロバストな構造色コーティング膜の作製プロセスの開拓

日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)  挑戦的研究(萌芽)

課題番号
18K19132
体系的課題番号
JP18K19132
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
6,240,000円
(直接経費)
4,800,000円
(間接経費)
1,440,000円
資金種別
競争的資金

構造色は微細構造における光の散乱や干渉で発色するもので、色素とは発色メカニズムが全く異なる色材として注目されている。微粒子集積体による構造色材料はその代表例であるが、構造安定性が乏しいうえに、濡れた場合、空隙に水が入り込むことで屈折率差が変化し、色調が変わってしまう問題点があった。本研究課題では、耐摩擦特性を有し、かつ環境の変化によっても色調が変わらない「ロバスト」な構造色コーティング膜の作製手法の開拓に挑戦することを目的としている。
本研究におけるコーティング膜の作製は、電気泳動堆積法(電着法)による粒子堆積膜の作製をベースとする。これまでの予備検討において粒子堆積膜を電着法で作製することは達成しているが、その膜は耐摩擦性が極めて乏しかった。
そこで初年度である2018年度は、電着膜の耐摩擦性向上をターゲットとして研究を遂行した。粒子堆積膜において、粒子間の空隙を別の無機固体で埋めることができれば、膜中で粒子間に強い結合が形成され、堅牢な構造になると見込まれる。その手法として、金属(水)酸化物の電解析出法を検討した。電着用ゾル中に金属イオンを添加することで、SiO2粒子の電荷を負から正へと反転させ、カソード電着による粒子集積膜の作製が可能となった。ここでCa2+やMg2+などの多価カチオンを用いることが必要であることもわかった。また、カソード表面では水の電気分解等によって局所的にOH-イオン濃度が上昇しており、その影響でSiO2粒子の堆積と同時に金属水酸化物が析出することも分かった。この金属水酸化物がSiO2粒子と基板間、あるいは粒子どうしを接着する役割を果たすことが分かった。とりわけMg2+を用いたものでMg(OH)2が粒子間に均一に析出し、得られた膜が構造色を発色すると同時に高い耐摩擦性を有することも明らかとなった。その膜強度は添加するMg2+イオンの量や電着時に印加する電圧等で変化することも明らかとなった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K19132
ID情報
  • 課題番号 : 18K19132
  • 体系的課題番号 : JP18K19132