2007年3月25日
チベット高原北部におけるヤク(Bos grunniens)の放牧季節の違いが金露梅(Potentilla fruticosa)優占草地の植物の種多様性と現存量に及ぼす影響
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌
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- 巻
- 43
- 号
- 1
- 開始ページ
- 1
- 終了ページ
- 8
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 日本家畜管理学会
チベット高原北部の金露梅(Potentilla fruticosa)優占草地において,ヤク(Bos grunniens)の暖寒2季の放牧季節の違いが野草地の植物の種多様性と現存量に及ぼす影響について検討した。暖季放牧地(WSP)では37種(イネ科:6,カヤツリグサ科:5,広葉草本:23,潅木:3),寒季放牧地(CSP)では44種(イネ科:7,カヤツリグサ科:6,広葉草本:27,潅木:4)が出現した。 WSPはCSPと比較し,植物種数,豊富度指数,種多様度指数およびPielou均等度指数が低く,植被季および群落高が有意に低かった(P<0.01)。出現種数は,WSP(7-16種/m^2)が,CSP(17-22種/m^2)よりも有意に少なかった(P<0.001)。また,栄養価の高い野草であるイネ科植物の地上部現存量は,CSPよりも低かった(P<0.01)。WSPではKobresia humilis, Leontopodium nanum, Potentilla anserinaなどの草高が低く,放牧耐性の高い植物がP. fruticosaの次に優占する種になっているのに対し,CSPではPoa prantensis, Elymus nutans, Kobresia capillifoliaなど草高の高い植物がP. fruticosaの次に優占する種になっていた。これらのことから,ヤクの長期にわたる放牧季節の違いがWSPの草地植生に強い影響を与え,種多様性が低下し,優良な野草の地上部現存量が減少し,著しく荒廃したと考えられた。
- リンク情報
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- CiNii Articles
- http://ci.nii.ac.jp/naid/120005174253
- ID情報
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- ISSN : 1880-2133
- CiNii Articles ID : 120005174253
- identifiers.cinii_nr_id : 1000040325733