MISC

2019年8月

運動強度および持続時間が血糖値スパイクを示す大学生の血糖降下に及ぼす影響 RCTによる検証

理学療法学
  • 木村 朗

46
Suppl.1
開始ページ
O
終了ページ
3
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.14900/cjpt.46S1.A-108_1
出版者・発行元
(公社)日本理学療法士協会

<p>【背景および目的】</p><p>近年、肥満を伴わない大学生で血糖スパイク(以下BSS)と呼ばれる食後の急激な血糖値の増加が認められている。BSSを抑制する至適運動は不明である。運動療法の適応を考える上で、運動の効果の実証実験が求められる。本研究の目的は複数の身体活動を運動強度および持続時間を組み合わせて身体活動量を一定にした上で、大学生のBSSに対する運動の急性効果を明らかにすることであった。</p><p> </p><p>【方法】</p><p>対象は1995年以降に出生した生活習慣病のない大学生132名を選択し、研究デザインはオープンラベルのRCT。自己血糖測定(SMBG)を昼食前後で実施、食後30分時点で血糖値が140mg/dlを超えた者をBSSありとし、アウトカムを血糖値(BS)とした。ランダムに安静群、40kcalとなる時間を示し自由歩行運動群(WG)、1動作のテンポを66bpmに規定した腿上げ歩行群(LG)、階段昇降実施群(SG)に分け、生活習慣を変えないまま、2週間後に急性運動を行わせた。食事は平均2000/日Kcalを指示し、野菜摂取約30%、朝食摂取を遵守させた。分析は一般化線形混合モデル(GLMM)をIBM-SPSS.v21.advancedモジュールを用いて、モデルの変数の分布にガンマ関数を設定し安静と対比した血糖降下の影響について検討した。</p><p> </p><p>【結果】</p><p>BSSの発生率は39.4%、RCT参加者はBMI21~25の12名、各群3名であった。男女比は各群2:1であった。運動前BS(mg/dl)は156±16、155±16、156±15、162±12、運動後BS降下幅は、53.0±20.3、68.7±27.2、71.0±8.7、77.7±13.5。</p><p>GLMMは1000回のブートストラップを実施後、運動後BSに対する運動の影響は分散比が95%信用係数0.007~0.04、p=0.14と有意であった。</p><p> </p><p>【考察および結論】</p><p>急性血糖下降作用はインスリン感受性以外の運動による血糖下降機序の賦活性が働いている可能性もある。身体活動は種別に関わらず、安静座位に対し、血糖値スパイクを示す肥満のない20歳の大学生の食後高血糖の急性下降効果を示した。</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究はすべての個人情報の秘匿匿名化を行うことを説明し、ヘルシンキ宣言に則り、インフォームド・コンセントを得た。プライバシーの保護、自己による中断の自由、身体への侵襲を伴うことを説明し、同意を得て実施した。</p>

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.14900/cjpt.46S1.A-108_1
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130007692381
ID情報
  • DOI : 10.14900/cjpt.46S1.A-108_1
  • ISSN : 0289-3770
  • eISSN : 2189-602X
  • 医中誌Web ID : 2020141437
  • CiNii Articles ID : 130007692381

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