Papers

Peer-reviewed
Sep, 2019

ヒト口腔内細菌及び真菌に対する歯木ニーム抽出液の抗菌効果

歯科医学
  • 金山愛加
  • 笹部倫世
  • 山本 眸
  • 片岡宏介
  • 吉松英樹
  • 小柳圭代
  • 南部隆之
  • 沖永敏則
  • 小野圭昭
  • 河村 佳穂里
  • 土居貴士
  • 三宅達郎
  • Display all

Volume
82
Number
2
First page
72
Last page
80
Language
Japanese
Publishing type
Research paper (scientific journal)
Publisher
大阪歯科学会

ニームはインド原産センダン科の常緑樹で、古来よりその枝は歯ブラシとして、またその葉は駆虫剤(虫下し)、整腸剤、胃薬といったオーラルメディケーションとして、そして種子からの抽出液は植物の除虫剤として用いられてきた。本研究では、根面う蝕から高頻度に検出されるLactobacillus casei(Lc)、口臭との関連が深いとされているFusobacterium nucleatum(Fn)、さらに口腔カンジダ症の起因菌であるCandida albicans(Ca)に対するニーム抽出液の抗菌効果について検討することを目的とした。ニーム抽出液は種子の搾汁液を使用した。まず、各菌を播種した寒天培地にニーム抽出液(×1)20μLを含むディスクを静置し、24時間培養後、それぞれの発育阻止円を測定するペーパーディスク法を行った。さらに各菌液をニーム抽出液の段階希釈液と30分間および24時間共培養を行ない、その途中経過の培養液100μLを寒天培地に播種しコロニー数を計測するtime-killing kinetics assayを行った。ペーパーディスク法における発育阻止円の直径平均値は、Lcが15.5mm、Fnが12.2mm、Caが15.8mmであった。time-killing kinetics assayについては、30分間共培養ではLcが10^3倍希釈(×1/10^3)、CaおよびFnは10^2倍希釈(×1/10^2)までの希釈液に菌増殖抑制効果が認められた。また、24時間共培養では、Lcでは10^3倍希釈(×1/10^3)、Caについては10^2倍希釈(×1/10^2)までのニーム希釈液に菌増殖抑制が認められたが、Fnでは10^2倍希釈(×1/10^2)までのニーム希釈液については培養12時間までは菌の増殖抑制が認められたものの培養12時間以後は菌増殖の抑制が認められなかった。すなわち、Fnについては、24時間までの共培養では、全ての供試されたニーム希釈液では抗菌効果は認められなかった。以上のことから、ニーム抽出液はLcおよびCaに対し明らかな抗菌効果を有することが示された。このことは、ニーム抽出液がヒト口腔内微生物に対し抗菌・抗真菌効果を有した植物由来の基剤となるものであり、根面う蝕や口腔カンジダ症の予防・治療ツールに応用できる可能性を示唆するものである。(著者抄録)

Link information
URL
https://search-tp.jamas.or.jp/index.php?module=Default&action=Link&pub_year=2019&ichushi_jid=J00557&link_issn=&doc_id=20191115170004&doc_link_id=1390002184856990848&url=https%3A%2F%2Fcir.nii.ac.jp%2Fcrid%2F1390002184856990848&type=CiNii&icon=https%3A%2F%2Fjk04.jamas.or.jp%2Ficon%2F00003_3.gif
URL
https://search-tp.jamas.or.jp/index.php?module=Default&action=Link&pub_year=2019&ichushi_jid=J00557&link_issn=&doc_id=20191115170004&doc_link_id=10.18905%2Fshikaigaku.82.2_72&url=https%3A%2F%2Fdoi.org%2F10.18905%2Fshikaigaku.82.2_72&type=J-STAGE&icon=https%3A%2F%2Fjk04.jamas.or.jp%2Ficon%2F00007_3.gif
ID information
  • ISSN : 0030-6150
  • Ichushi Web ID : 2020055573

Export
BibTeX RIS