2017年4月 - 2021年3月
有効ゲージ場に基づく物質中の電気磁気光学相関現象の包括理論
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
スピントロニクス現象はスピン流の概念を用いて発展してきた。が、スピン流は保存流ではないために現象の現象論的解釈には原理的な不定性が存在する。さらに非保存性によりスピン流は測定可能量ではなく、スピン密度や電流などの物理量により間接的にアクセスする他ない。我々は駆動場と測定場の 2 つの物理量を線形応答理論で直接結びつける定式化を行い、自然で明快な理論記述を提示した。
スピンホール効果などスピン軌道相互作用によるスピン電荷変換現象は、従来はスピン流と電流の相関関数で理解されてきたが、この場合測定量であるスピン密度を求めるには拡散方程式などの古典的議論を経る必要があった。我々は、スピン密度と電流の相関関数を用いれば、1つの線形応答公式により現象を明快に記述できることを示した。
従来の記述でのスピン流伝導率に相当するものは、スピンゆらぎによる強磁性帯磁率である。つまりスピン流透過の観測は、波数分解(空間依存した)帯磁率を電気的測定により検出しているということができる。この理解では強磁性体から反強磁性絶縁体にスピン流が「流れる」のは極自然である。
スピントロニクスはすでに定量的予言と解釈が不可欠な段階であり、スピン流と現象論パラメータによる感覚的理論では不十分である。スピンと電流の相関関数などの直接的応答量に基づく曖昧性のない記述は今後不可欠であると期待される。
スピンホール効果などスピン軌道相互作用によるスピン電荷変換現象は、従来はスピン流と電流の相関関数で理解されてきたが、この場合測定量であるスピン密度を求めるには拡散方程式などの古典的議論を経る必要があった。我々は、スピン密度と電流の相関関数を用いれば、1つの線形応答公式により現象を明快に記述できることを示した。
従来の記述でのスピン流伝導率に相当するものは、スピンゆらぎによる強磁性帯磁率である。つまりスピン流透過の観測は、波数分解(空間依存した)帯磁率を電気的測定により検出しているということができる。この理解では強磁性体から反強磁性絶縁体にスピン流が「流れる」のは極自然である。
スピントロニクスはすでに定量的予言と解釈が不可欠な段階であり、スピン流と現象論パラメータによる感覚的理論では不十分である。スピンと電流の相関関数などの直接的応答量に基づく曖昧性のない記述は今後不可欠であると期待される。
- ID情報
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- 課題番号 : 17H02929
- 体系的課題番号 : JP17H02929