72歳男性。息切れを主訴とした。前医で心不全の診断のもと利尿剤が投与されたが効果がなく、当科紹介受診となった。冠状動脈CTでRCAが肺動脈主幹部から起始し、左冠状動脈前下行枝と連続する所見を認めた。RCA起始部は瘤化し、内径が44×29mmであった。冠状動脈は全体的に拡張し、蛇行していた。テクネシウム心筋シンチグラムで下後壁全体に負荷時の集積低下を認めた。右冠状動脈肺動脈起始症(ARCAPA)と診断し、開胸下にARCAPA瘻孔閉鎖術と冠状動脈バイパス術を施行した。RCAは全体的に拡張していたが、後下行枝移行部付近がグラフト吻合可能と判断し、左大腿から採取した大伏在静脈を吻合した。瘤を切開すると、8×10mmの孔が肺動脈に開口し、自己膜を用いて連続縫合で閉鎖した。瘤の末梢方向は奥にくびれる形で拡張したRCAに連続し、これを縫合・閉鎖した。術後20日に軽快退院となり、その後再発を認めていない。