2017年4月 - 2021年3月
中国古典詩学の新たな可能性――銭鍾書『談芸録』を手がかりとして――
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本研究は、近現代の学者銭鍾書(1910-1998)の古典詩論『談芸録』とその自筆ノート『容安館札記』を主に分析し、そこから得られた銭氏の文学・芸術に関する知見を手がかりとして、中国古典詩学の新たな地平を拓こうとするものである。
根幹をなす基礎作業として、隔月1回のペースで研究会を開催し、『談芸録』の会読を進めた。期間4年の2年目にあたる本年度は、第四十三条「施北研遺山詩註」までの検討を完了した。『談芸録』には、古今東西の各種文献がテクストの織物として縦横無尽に引用されているが、研究会ではそのすべての原典をチェックしたうえで、精密な日本語訳注の作成をめざしている。その成果の一部として、第三十九条「キョウ定庵の詩(その一)」を『飆風』第57号(飆風の会)に公表した。「同(その二)」も引き続き同誌に掲載する予定である。
銭鍾書の詩学関連の資料蒐集も平行して進めており、ようやく『銭鍾書手稿集 外文筆記』第1~6輯+総索引、全49冊(商務印書館、2014年)を購入し、京都大学文学研究科図書館の蔵書とした。これで『容安館札記』『中文筆記』と合わせて、銭氏の草稿研究のための基盤が整ったことになる。
また、銭鍾書の文学・芸術論を手がかりとした詩学研究としては、中唐の詩人韓愈のいわゆる「醜悪の美」が北宋の欧陽脩にどのように受容されたかという問題について考察を深めた。かつて日本語で発表した論文を修訂増補したうえで、中国・蘇州大学開催の2018国際中青年学者宋代文学研討会にて口頭発表。その後、「欧陽修的美醜意識及其表現――囲繞対韓愈詩“醜悪之美”的接受」と題して中国語版論文も刊行した。
根幹をなす基礎作業として、隔月1回のペースで研究会を開催し、『談芸録』の会読を進めた。期間4年の2年目にあたる本年度は、第四十三条「施北研遺山詩註」までの検討を完了した。『談芸録』には、古今東西の各種文献がテクストの織物として縦横無尽に引用されているが、研究会ではそのすべての原典をチェックしたうえで、精密な日本語訳注の作成をめざしている。その成果の一部として、第三十九条「キョウ定庵の詩(その一)」を『飆風』第57号(飆風の会)に公表した。「同(その二)」も引き続き同誌に掲載する予定である。
銭鍾書の詩学関連の資料蒐集も平行して進めており、ようやく『銭鍾書手稿集 外文筆記』第1~6輯+総索引、全49冊(商務印書館、2014年)を購入し、京都大学文学研究科図書館の蔵書とした。これで『容安館札記』『中文筆記』と合わせて、銭氏の草稿研究のための基盤が整ったことになる。
また、銭鍾書の文学・芸術論を手がかりとした詩学研究としては、中唐の詩人韓愈のいわゆる「醜悪の美」が北宋の欧陽脩にどのように受容されたかという問題について考察を深めた。かつて日本語で発表した論文を修訂増補したうえで、中国・蘇州大学開催の2018国際中青年学者宋代文学研討会にて口頭発表。その後、「欧陽修的美醜意識及其表現――囲繞対韓愈詩“醜悪之美”的接受」と題して中国語版論文も刊行した。
- ID情報
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- 課題番号 : 17K02640
- 体系的課題番号 : JP17K02640
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
5-
清華学報 51(2) 271-307 2021年6月 査読有り
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飆風 59・60 175-184 2020年11月 責任著者
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飆風 58 133-147 2019年9月 筆頭著者
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飆風 58 119-132 2019年9月 責任著者
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飆風 57 24-37 2018年4月 責任著者
講演・口頭発表等
1-
宋代文獻新視野:研究課題及方法的反省與前瞻國際研討會 2019年12月20日 國立清華大學中國文學系、歴史研究所 招待有り