共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

局所クーパー対形成による異方的超伝導機構

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)
  • 服部 一匡

課題番号
18K03522
配分額
(総額)
2,600,000円
(直接経費)
2,000,000円
(間接経費)
600,000円

平成30年度の研究では、主に多軌道系における局所クーパー対の応用としてのBiS2超伝導体の超伝導秩序変数の解析を行った。BiS2超伝導体は、その発見以来、超伝導秩序変数の対称性について活発に議論が続けられている物質である。我々は、これまでの電子間のクーロン斥力を基礎としたフェルミ面のネスティングと乱雑位相近似という描像・手法や、純粋フォノン機構によるs波超伝導状態などの理論を精査するとともに、独自にBi原子のp軌道模型に有効相互作用を導入し、多軌道自由度から発現する異方的s波状態とd波状態について解析を行った。局所クーパー対の寄与が大きいd波対称性の超伝導と通常の意味での異方的s波が広い領域で実現することがわかった。各種の実験との整合性が取れる超伝導秩序変数はこれまで提案されていないが、異方的s波の超伝導秩序変数は広い範囲の実験結果をうまく説明することが可能である。
BiS2超伝導体の研究とともに、強磁性超伝導体URhGeの基礎模型としての1次元のスピン1の近藤格子模型の密度行列くりこみ群による解析も並行して行った。URhGeはイジング強磁性体であるが、横磁場下で顕著な超伝導転移温度の増大が観測されている。我々は密度行列くりこみ群を用いて横磁場下の基底状態を詳細に解析し、様々な相が発現する事を見出した。この結果を元にすることで、スピンと伝導電子が強く相関した、局所的な複合粒子のクーパー対による超伝導状態を解析することができると期待している。