2013年6月
スピノザの存在論における必然性の問題 : 運命に対する人の態度を軸として
宗教研究
- 巻
- 87
- 号
- 1
- 開始ページ
- 157
- 終了ページ
- 181
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.20716/rsjars.87.1_157
- 出版者・発行元
- 日本宗教学会
本稿は運命に対する人の態度を軸として、スピノザ(Baruch de Spinoza, 1632-1677)の存在論における必然性の問題について考察するものである。そのためにまず、九鬼周造の学説を手がかりとして「運命」の現れ方を検討し、それが人間精神のうちにその他の考えを容れる余地を与えぬほど容易には逃れえない強烈な「表象」を抱かしめる「原因」であることを示す。次に、ライプニッツの行った対スピノザ批判を考察することを通し、「運命」の二つの顔を明らかにするとともに、人間たちは「運命」を自由に判断することができないとするスピノザの主張を確認する。そして最後に、これまでの成果を踏まえた上で、〈運命の受容〉に関する問題を検討する。ここでは現実的存在の基礎解析と表象としての時間の解明がなされる。結論として、スピノザの思想にそって「運命」について考えて行くと必然的に神の「恩寵」の問題に逢着することが示される。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.20716/rsjars.87.1_157
- ISSN : 0387-3293
- CiNii Articles ID : 110009625110
- CiNii Books ID : AN00406454