共同研究・競争的資金等の研究課題

2006年 - 2008年

保健・医療・福祉に利用できる方言データベースとコミュニケーションマニュアルの開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 萌芽研究  萌芽研究
  • 岩城 裕之
  • ,
  • 友定 賢治
  • ,
  • 日高 貢一郎
  • ,
  • 今村 かほる

課題番号
18652044
体系的課題番号
JP18652044
配分額
(総額)
3,200,000円
(直接経費)
3,200,000円

1 医療現場での方言をめぐる問題に地域差がみられること
各地でのアンケートや臨地調査によって、方言を巡る問題に地域差があることが明らかとなった。具体的には、富山の場合、県内のごく狭い範囲で、体調を表す重要な語について使用・不使用があったり、意味が異なる場合が存在することが分かった。一方、青森では多くの語が難解であり、医療場面で想定されるすべての語彙、表現の記述が必要となることが明らかとなった。
2 方言データベースの作成と公開
青森、広島、富山、飛騨のデータを収録した方言データベースを作成、公開した。
いわゆる聞き取りにくい方言について、検索する際に想定されるいくつかの入力パターンを調査し、いずれのパターンでも適切な候補を表示できるようなシステムを構築した。方言研究者であれば一定のルールの中で記述するが、医療関係者などの非方言研究者は、必ずしもそうではないことに配慮したためである。結果的に、使いやすい方言辞書を追求することとなった。
また、現地で収録した音声を加工し、データベースの多くの語や一部の文例について、クリックすることで音声を聞くことができるようになった。
揺れのある入カパターンから適切な候補を見つけ出すことのできる方言辞書やデータベースは、ほとんど前例がなく、ユニークな成果であると思われる。
3 コミュニケーションマニュアルの作成
青森県津軽において、いくつかの定型的問診場面を取り上げ、方言による対話例を作成した。しかし、共通語の問診と異なり、いわゆる日常の挨拶や雑談をはさむことが「方言的」であったため、マニュアルにはなじまないと考えられ、今後も研究を重ねていく必要があると思われる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18652044
ID情報
  • 課題番号 : 18652044
  • 体系的課題番号 : JP18652044