共同研究・競争的資金等の研究課題

2002年 - 2003年

東アジアにおける水田形成および水稲文化の研究(日本を中心として)

科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))  基盤研究(B)

課題番号
14310164
体系的課題番号
JP14310164
配分額
(総額)
9,100,000円
(直接経費)
0円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

東アジアに広がる水田を基盤とする社会の特質を明らかにするのがこの研究の目的である。その調査フィールドとして、対馬とバリ島を選び、水田と村落の伝統的形態を明らかにし、水稲文化の比較研究を行うことを目指した。現在進化の著しい調査資料のデジタル化を積極的に活用して、学際的に水田・集落・儀礼の復原研究を進めた。
対馬では、その南端に位置する豆酘(つつ)に焦点を定め、現代でも赤米神事が行われている水田の環境およびその儀礼の歴史的経緯と特質を究明した。その際、歴史資料の掘り起こしに重点を置き、対馬歴史民俗資料館、長崎県立図書館、地元の真言宗寺院である金剛院などで重点的に調査を行って、コマ数にして約6000点の史料をデジタル化した。これらをパソコンに入力してただちに目録化し、復原調査に役立てた。また、この地域の空中写真からデジタル作業により2000分の1地形図を作成し、史料を活用して景観復原を進めた。このように対馬村落のピンポイント的調査を進めるとともに、水稲文化を東アジア全体の文化と考え、対馬のこの海域における歴史的役割をも明らかにするよう務めた。幸いにも21世紀COEプログラム「アジア地域文化エンハンシング研究センター」の支援を得て視野の広いプロジェクトにすることができた。
一方、棚田地帯として知られるバリ島においては、従来もヒンドゥー教の儀礼に支えられた自治的村落の存在が知られ、演劇・音楽・彫刻・絵画などの芸術の展開が注目されてきた。今回灌概組織スバックの調査を中心に行い、東部バサンアラス村と対馬豆酘との水田灌概形態の比較研究を行った。その結果、バリ島村落の伝統的灌漑形態は、日本よりも進化している点が少なくないことが明らかとなった。これらの成果を報告書『東アジアにおける水田形成および水稲文化の研究(日本を中心として)』にまとめることができた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-14310164
ID情報
  • 課題番号 : 14310164
  • 体系的課題番号 : JP14310164