共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2021年3月

層状ケイ酸塩鉱物における原子レベルキンク構造の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
19H05138
体系的課題番号
JP19H05138
配分額
(総額)
2,990,000円
(直接経費)
2,300,000円
(間接経費)
690,000円

密度汎関数法を用いて、粘土鉱物葉蝋石(pyrophyllite)に力を加えていくことで、キンク構造を構築した。計算コストによる制限から、葉蝋石の一層を計算の対象とし、力の加え方については1. 積層方向に力が加えられた場合、2. 積層方向とは垂直に圧力が加わった場合、の2種類についてシミュレーションを行った。その結果、前者では力が加わった点でシリコン-酸素の結合が切れることによって構造破壊が起こり、粘土鉱物層が折れることがわかった。ただし、結合が切れた部分にダングリングボンドができるため、現実の環境下では水分子を取り込んでこれらのダングリングボンドに結合してダングリングボンドが解消されると予想される。また、後者については、粘土鉱物層が波打つ構造ができた後、曲率が最大となる部分の間、つまり、曲がっていない部分に強い力がかかり、その部分を構成する原子間の結合が切れて構造が破壊されることがわかった。また、この構造破壊についても、実の環境下では水分子を取り込んでこれらのダングリングボンドに結合してダングリングボンドが解消されると予想される。
実際の粘土鉱物は上記で調べた単独の層ではなく、いく層にも重なった構造を取っている。このような構造に対しても、上記1の積層方向に力が加わった場合については、複数の層が存在する場合も上記1の結果と同様に構造の破壊が起こると考えられる。一方、上記2の場合のように積層方向に垂直に圧力が加わった場合は、層間の相互作用を考慮する必要があるため、本研究で得られた単層構造が連鎖して同じような構造破壊が起こるのか、それとも層間の相互作用によって他の構造破壊が起こるのか、さらなる解析が必要であると考えられる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-19H05138
ID情報
  • 課題番号 : 19H05138
  • 体系的課題番号 : JP19H05138

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

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