2016年4月 - 2019年3月
越水ならびに浸透による河川堤防決壊のメカニズムに関する研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
堤防を構成する「礫・砂・粘土」の比率に応じて決壊のプロセスに顕著な差が現れることを明らかにし,そのメカニズムの解明に挑みました.砂礫の間隙を埋めるほどの粘土が含有されると粘土の耐浸食性ゆえに浸食が抑制され,決壊にしにくい粘り強い堤防となります.粘土と砂に加えてある比率で礫を含有されると礫粒子間のかみ合わせによる効果が顕著に見られるようになり,堤防決壊を起こし難くなります.ある比率以上に粘土が含有されると堤体が変形を起こすようになり,礫の含有比率が大きすぎると材料全体の透水性が増し浸透による決壊を招くことになります.粘り強い堤防とするには最適な「礫・砂・粘土」の含有比率が存在すると推察されます.地球規模での気候変動と気象の極端化の影響により,記録的な豪雨が毎年のように発生しています.これに伴い,河川での堤防決壊も稀ではなく,2015年の鬼怒川の決壊に伴う大規模浸水を始め,国内のどこかで毎年のように甚大な被害に遭遇するようになりました.河川堤防は洪水による被害を食い止める最後の砦であるため,堤防を決壊し難い「粘り強い」ものとしていく必要があります.本研究によれば,堤防材料に占める「礫・砂・粘土」の比率に最適値が存在することが示され,現時点で言えば「3 : 4 : 3」がこれに当たるとの結論が得られました.これは,これまでに経験的に定めてきた指標に力学的な裏づけを与える結果と言えます
- ID情報
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- 課題番号 : 16K06519
- 体系的課題番号 : JP16K06519