共同研究・競争的資金等の研究課題

2022年4月 - 2027年3月

短寿命原子核の網羅的質量測定による重元素の起源研究の展開

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(S)  基盤研究(S)

課題番号
22H04946
体系的課題番号
JP22H04946
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
188,890,000円
(直接経費)
145,300,000円
(間接経費)
43,590,000円

令和4年度は、加速器の故障により後期に計画していた幾つかのオンライン実験は中止となった。一方、カリフォルニウムおよびキュリウムの自発核分裂片を利用したオフラインの質量測定は順調に実行され、セリウム、ジルコニウムの中性子過剰同位体において初質量測定を実施できた。
これらの測定は装置の性能の向上および診断にも有効であり、時間をかけてしっかりと測定することができた。特に、元素ごとの荷電状態(1価、2価、3価)の分布とその温度依存性の興味深い測定が実施できた。中には同位体間(あるいは核異性体間)で異なる分布がみられることがあり、その物理的理解を検討している。
高速RIビームを停止してイオントラップに捕集するガスセル装置の改良も進めた。ひとつは、ヘリウムガス中に含まれる不純物で除去しにくいアルゴンガスを除去するためのアルゴントラップの整備である。ガス導入ラインに16Kまで冷やせる冷凍機を設置することで、大きな除去効率が達成できた。また、ガスセル内でのイオンの輸送速度および効率向上のためのワイヤー式の高周波カーテンを導入するべく、ワイヤー装置組み立て装置を製作した。
GARIS装置で進めている超重元素の精密質量測定をより確実に実行できるよう、質量測定実験に先立ち、崩壊分光により実際に生成されている超重元素同位体の量を確認できるようにした。
これまでに測定した結果の解析も進み、ウランの中性子過剰同位体を40年ぶりに新発見できたこと、チタンやバナジウム同位体において中性子数N=34の魔法数性が消失していることの発見について論文を出版し、2件のプレスリリースを行った。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-22H04946
ID情報
  • 課題番号 : 22H04946
  • 体系的課題番号 : JP22H04946