2015年1月
福島県東部の大柿ダム内の土砂とセシウム137の移動と堆積
Environmental Research Letters
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- 巻
- 10
- 号
- 1
- 開始ページ
- 014013\_1
- 終了ページ
- 014013\_9
- 記述言語
- 英語
- 掲載種別
- DOI
- 10.1088/1748-9326/10/1/014013
本論文は福島長期環境動態研究(F-TRACE)の一環として実施した2次元河川シミュレーションコードNays2Dによる福島県の大柿ダムでの放射性セシウムの流動及び堆積分布予測に関する研究についての報告である。現状のシミュレーションコードでは放射性物質の移動は計算できないが、放射性セシウムは粘土のような粒径の小さい土砂に吸着しやすいことに着目し、土砂の移動を計算しそれを放射性セシウムの移動とみなすことにした。実際に、2013年9月の洪水時や平均的な洪水時の流量等を境界条件として用いて、大柿ダム内の土砂の流れのシミュレーションを原子力機構のBX900で実施し、土砂の移動を計算した。特筆すべき成果は、粒径の小さいシルト及び粘土の振る舞いはダムの排水口の高さに大きく依存しており、排水口の位置を高くすることでダム内にシルト及び粘土が多くとどまるようになることを示したことである。この結果は、ダムの水位を適切に調整することで下流への土砂に付着したセシウムの移動を防げる可能性があることを示しており、住民の被ばくの低減に資する成果である。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.1088/1748-9326/10/1/014013
- ISSN : 1748-9326
- Web of Science ID : WOS:000348501800014