2017年4月 - 2020年3月
ヒストンシャペロンによる遺伝子発現制御機構の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本研究の目的はクロマチン制御因子NPM1の遺伝子発現制御機構を明らかにすることである。これまでの解析から、NPM1はリンカーヒストン様因子と相互作用することを明らかにし、リンカーヒストン様因子のDNA結合領域の決定に影響を与える可能性が示唆された。リンカーヒストン様因子はHeLa細胞においてこれまで報告されているリンカーヒストンとは異なる染色体結合パターンを示し、特に特定の遺伝子の転写開始点近傍に集積していた。これらの遺伝子はHeLa細胞ではほとんど発現していない遺伝子であることから、これらの遺伝子の発現抑制に重要な役割を担っていることが想定された。そこで、リンカーヒストン様因子のノックダウン細胞を用いて遺伝子発現解析を行ったところ、その標的遺伝子の発現の上昇が観察された。現在、リンカーヒストン様因子がどのように遺伝子発現を抑制するのか、どのように特定の染色体領域にのみ結合するのか、リンカーヒストンシャペロンとの機能的な相互作用を明らかにすべく、研究を進めている。また、これまでの研究から、NPM1は転写因子のシャペロン様の機能を介して、インターフェロン応答性の遺伝子発現に関わることを明らかにしてきた。今年度はI型インターフェロン、II型インターフェロン応答性遺伝子の発現におけるNPM1の役割を検討した。引き続き、NPM1によるインターフェロン応答性遺伝子の発現制御機構を明らかにすべく研究を進めていく。
- ID情報
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- 課題番号 : 17K07300
- 体系的課題番号 : JP17K07300