共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

廃アスベストの再資源化:高機能性材料への新規転換プロセス開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

課題番号
20K05405
体系的課題番号
JP20K05405
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

昨年度に引き続き、本研究では実験の安全性を考慮し、クリソタイルの模擬試料としてタルクを用いた。タルクを酸処理することによって、Mgは水溶液中に溶出し、Siは不溶解残渣中に固体成分として残った。
不溶解残渣の化学組成分析を行ったところ、約93mass%がSiO2であることが分かった。この他に、微量成分としてMgOやFe2O3が含まれていた。また、粉末X線回折測定を行ったところ、シャープな回折ピークは認められず、不溶解残渣は非晶質物質であることが分かった。
この不溶解残渣をシリカ資源として用い、アルミノケイ酸塩系多孔質物質の合成プロセス開発を行った。不溶解残渣を溶かしたアルカリ水溶液と塩化アルミニウム水溶液を反応させることで、中空球状のアルミノケイ酸ナノ粒子を合成することに成功した。合成の際は、各ステップでのpH・温度・時間を適切に設定することが極めて重要であことが分かった。
タルクの比表面積は約6m2/gであったが、酸処理することでマイクロ孔が発達し、不溶解残渣の比表面積は約270m2/gまで上昇した。不溶解残渣から合成したアルミノケイ酸ナノ粒子では、マイクロ孔およびメソ孔の形成が確認され、比表面積は約540m2/gであった。
タルクはアセトアルデヒドに対してほとんど吸着能を有していないが、不溶解残渣やアルミノケイ酸ナノ粒子は吸着能を有していることが分かった。特にアルミノケイ酸ナノ粒子は、吸着速度と吸着容量の点で一般的な吸着材よりもはるかに優れていることが分かった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K05405
ID情報
  • 課題番号 : 20K05405
  • 体系的課題番号 : JP20K05405