共同研究・競争的資金等の研究課題

2006年4月 - 2008年3月

貿易政策と海外直接投資の成長及び厚生効果

日本学術振興会  科学研究費補助金 若手研究(スタートアップ)  若手研究(スタートアップ)

課題番号
18830060
体系的課題番号
JP18830060
担当区分
研究代表者
資金種別
競争的資金

本年度は、まず、貿易政策と国内賃金所得格差の関係を分析し、その成果を1本の論文として執筆した.関税率引き下げなどの貿易自由化に伴い、発展途上国における熟練・非熟練労働者間の賃金格差は多様な動きを見せている.論文"Impacts of trade on skill acquisition、wage inequality and welfare in a small open economy(仮題)"では、熟練労働を必要とする産業が独占的競争を行う公企業と民間企業によって構成されている状況を想定し、さらに公企業の生産活動への補助金に政府が関税収入を用いている場合に、関税率引き下げが熟練・非熟練労働者間の賃金率格差に与える効果を分析した.その結果、関税率引き下げは(1)公企業を衰退させ、その結果直接的に熟練労働需要を減少させる効果、と(2)公企業の衰退が民間企業の参入を促進させ、その結果、熟練労働者への需要が増加する効果、の二つの効果が存在することがわかった.この二つの効果により、関税率で測った貿易自由化の度合いと熟練・非熟練労働者間の賃金格差がU字の関係を呈す可能性が示唆された.
次に、論文"Corporate tax、terms of trade and welfare in a dynamic two-country economy with capital accumulation(仮題)"では、(1)消費用途のみで購入される財、(2)消費及び投資目的で購入される財の2つが存在する2財モデルを考察し、ある国の法人税率引き下げがもたらす国際的な資本移動(直接投資)がその国の貿易パターンとどのような関係にあるのかについて考察した.その結果、ある国の法人税率引き下げは、(1)その国の特化パターンに関わらず必ず交易条件を改善させる、(2)その国が消費財を輸出している場合には自国の資本ストックのみを増加させ、他国へのスピルオーバー効果は発生しない、(3)その国が消費・投資財を輸出している場合には自他両国の資本ストックを増加させる、という結果を得た.
最後に、論文"Intergenerational strategic complementarity and multiple patterns of economic growth"を復旦大学(上海、中国)における国際コンファレンス「CEA(UK) and CCES joint International Conference on TRANSITION AND ECONOMIC DEVELOPMENT IN CHINA」において口頭報告した.

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18830060/
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18830060
ID情報
  • 課題番号 : 18830060
  • 体系的課題番号 : JP18830060