2016年4月 - 2021年3月
多角的解析法により明らかにするTBCタンパク質を介した細胞性免疫制御機構
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本年度は、前年度に同定されたTBC1D10B結合タンパク質であるARF類似蛋白アイソフォームA、C、Dの機能解析を行った。アイソフォームA、C、DをそれぞれRAW264マクロファージに過剰発現させると、アイソフォームCとアイソフォームAにおいて、著しいラッフリングの亢進が認められた。また、このラッフリングの亢進は、GTP結合型変異ミュータントを用いた発現機能解析から、GTP依存的であることが明らかとなった。他の低分子量GTPaseであるRac1をRAW264細胞に過剰発現させると、細胞表面のラッフリングが促進されることが知られていることから、アイソフォームAとアイソフォームCはRac1シグナリング経路の活性化に関与しているものと思われる。次に、アイソフォームA、C、Dの過剰発現による、Fcγレセプター介在性ファゴサイトーシスへの影響について検討した。RAW264細胞にアイソフォームA、C、DのGTP結合型、野生型を発現させ、IgGコートされた赤血球の取り込みを、顕微鏡下でカウントすることにより定量化したところ、アイソフォームA、C、DのGTP結合型の過剰発現により貪食が抑制されることが明らかとなった。また、この抑制効果は、アイソフォームC、A、Dの順に弱くなる傾向がみられた。昨年度のアイソフォームCに対する特異抗体を用いた発現解析から、アイソフォームCはRAW264細胞で発現量がやや少ないことから、TBC1D10Bは主にアイソフォームA、Dのシグナリング経路を介してファゴゾーム形成を抑制している可能性が推定される。
- ID情報
-
- 課題番号 : 16K08468
- 体系的課題番号 : JP16K08468