共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

「安全第一、生産第二」の経営史―戦後日本石炭産業の事例

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K01797
体系的課題番号
JP20K01797
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
1,300,000円
(直接経費)
1,000,000円
(間接経費)
300,000円

本年度も、資料館・博物館等の一次資料所蔵先の長期閉館等により、予定していた資料調査を十分に実施できなかった。しかし、ケース・スタディの対象を絞り込み、限られた機会を利用して資料収集と分析を行うことができた。遺憾ながら、本年度は、分析に基づいた論文執筆に取りかかるにとどまり、それを発表するには至らなかった。本年度の研究で明らかになりつつある点は、以下のとおりである。
まず、前年度に明らかにした労働規律の弛緩の背景を考察した。背景については、以下の仮説が考えられるが、資料に基づいた実証にまでは至っていない。第1に、自然条件や保安教育だけでなく、労働力の流動性が影響していたことである。これは、炭鉱への入職・離職だけでなく、炭鉱内での労働力配置の流動性も含む。第2に、労働力間の身分格差に起因する情報格差である。これは、炭鉱の正規従業員、関連会社の下請け従業員、地元の下請け従業員間の格差を指す。第3に、生産管理機構の限界であるが、この点については、さらに資料を読み込む必要がある。
次に、たとえ保安優良表彰を受けた炭鉱であっても、保安優良の状況を維持することは困難であった。表彰制度は、保安改善に向けたインセンティブになり得るが、持続的な保安改善のためには、表彰制度とは異なるインセンティブの設計が必要だったことが示唆される。
上記の仮説等を実証するには、文書資料に加えて聞き取り調査を行う必要があると考えられるため、後述するようにオーラルヒストリーの収集を考慮する。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K01797
ID情報
  • 課題番号 : 20K01797
  • 体系的課題番号 : JP20K01797

この研究課題の成果一覧

論文

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