Misc.

4 2007

【心血管病に関与する細胞内情報伝達系】 血管平滑筋Ca2+感受性増強の細胞内シグナル伝達におけるFynチロシンキナーゼおよび細胞膜ラフトの重要性

日本薬理学雑誌
  • 岸 博子
  • ,
  • 川道 穂津美
  • ,
  • 加治屋 勝子
  • ,
  • 小林 誠

Volume
129
Number
4
First page
245
Last page
251
Language
Japanese
Publishing type
DOI
10.1254/fpj.129.245
Publisher
(公社)日本薬理学会

血管平滑筋の異常収縮は、虚血性心疾患やくも膜下出血後の脳血管攣縮などの疾患の病態生理に重要な役割を果たしている。この異常収縮の分子機構として、RhoキナーゼによるCa2+-sensitizationが重要である事が知られているが、我々はこれまでに、Rhoキナーゼの上流の、血管平滑筋Ca2+-sensitizationのシグナル分子として、スフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)を同定し、更に、SPCが、Srcファミリーチロシンキナーゼ(Src-TK)を介して、Rhoキナーゼを活性化する事を明らかにした。我々は、Src-TKの中で、血管平滑筋組織および培養血管平滑筋細胞において、Fynおよびc-Srcが発現している事を確認し、どちらが血管平滑筋Ca2+-sensitizationのシグナル伝達に関与するかを検討した。培養血管平滑筋細胞において、SPC刺激により、Fynは細胞内から形質膜へ移動したが、c-Srcの細胞内局在は変化しなかった。そこで、1)siRNAによるFynの特異的ノックダウン、2)β-escinスキンド血管平滑筋標本における組み換えFynタンパクの導入、の2つの方法を用いて検討し、血管平滑筋Ca2+-sensitizationのシグナル伝達におけるFynの関与を直接的に証明しうる所見を得た。また、ヒトおよびコレステロール負荷家兎の血管平滑筋のSPC反応性と血清コレステロール濃度が相関する事を見出した。β-サイクロデキストリン処理により、細胞膜から選択的にコレステロールを除去すると、血管平滑筋組織において、SPC収縮は特異的に抑制され、培養平滑筋細胞では、ラフトのマーカーであるカベオリン-1による標識が著しく抑制され、SPCによるFynおよびRhoキナーゼの細胞内から形質膜への移動は抑制された。以上の所見より、血管平滑筋Ca2+-sensitizationのシグナル伝達において、コレステロールおよび細胞膜ラフトが、重要な役割を果たす事が示唆された。(著者抄録)

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DOI
https://doi.org/10.1254/fpj.129.245