論文

査読有り
2020年5月

自治体における自殺予防のためのゲートキーパー研修の実施と評価に関する実態調査

厚生の指標
  • 小高 真美
  • ,
  • 高井 美智子
  • ,
  • 太刀川 弘和
  • ,
  • 立森 久照
  • ,
  • 宇田 英典
  • ,
  • 坂元 昇
  • ,
  • 辻本 哲士
  • ,
  • 竹島 正

67
5
開始ページ
27
終了ページ
32
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)
出版者・発行元
(一財)厚生労働統計協会

目的 本研究では,自治体における自殺予防のためのゲートキーパー研修開催の実態およびその研修評価の実施状況や評価を促進するために必要な要件を明らかにすることを目的とした。方法 全自治体(47都道府県,20政令指定都市,1,721区市町村)の自殺対策担当課に郵送法による質問紙調査を実施した。質問紙は,1)平成28年度の自殺予防のためのゲートキーパー研修の実施状況,2)平成28年度に実施した研修のうち,最もプログラムが充実していたと考えられる研修1つに関する詳細(評価実施状況を含む),3)研修評価に重要であると考える要素,で構成した。結果 平成28年度にゲートキーパー研修を実施した自治体は,調査への有効回答を得た自治体全体の52.7%(都道府県(92.7%),政令指定都市(94.7%),区市町村(50.2%))であった。平成28年度の代表的なゲートキーパー研修の評価について,研修参加者人数および参加者の属性の記録,研修参加者の満足度や感想などのアンケートの実施など,研修プログラムのプロセス評価は多くの自治体で実施されていた。しかし既存の評価指標等を用いて研修のアウトカムを評価するための調査は,全体では14.6%の実施状況にとどまっていた。また研修評価を行う上では「評価指標などを含む評価方法についての情報」「評価に必要な知識やスキル」「評価結果の活用方法」が重要であることが明らかになった。結論 本調査で回答を得た自治体のうち,9割以上の都道府県,政令指定都市が,また区市町村でも5割がゲートキーパー研修を実施していたが,その実施形態は多様であることがうかがえた。研修評価については,大多数の自治体でプロセス評価を実施している一方,アウトカム評価は不十分である状況が確認された。今後はアウトカム評価を中心に,その実施方法や必要な知識・スキル,また評価結果の活用方法を中心に全国の自治体に提案していくことが急がれる。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0452-6104
  • 医中誌Web ID : 2020265990

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