2018年3月
血行再建術で消失した立位誘発脳虚血発作がnear-infrared spectroscopyによる脳組織酸素飽和度の変化で証明されたモヤモヤ病の1例
脳卒中
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- 巻
- 40
- 号
- 2
- 開始ページ
- 91
- 終了ページ
- 95
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- 出版者・発行元
- (一社)日本脳卒中学会
立位により脳虚血発作が誘発されたモヤモヤ病症例において、近赤外分光法(NIRS:near-infrared spectroscopy)により立位時の虚血側の局所脳酸素飽和度(rSO2)の変化を捉えることができた症例を報告する。症例は17歳女性。モヤモヤ病に対して左血行再建術を施行1ヵ月後に一過性左上肢脱力が出現し、右側血行再建を行うために入院となった。NIRSを使用し、臥位から15°ずつ頭位挙上し、立位まで体位変換し、その間のrSO2を測定した。その結果、rSO2は30°以上の頭位挙上で左右差が明らかとなり、虚血側では立位時に最大11%まで低下を認めた。また、術前に認めた頭部挙上に伴う虚血側でのrSO2の低下は血行再建後消失しており、15O-PETによるCBFやOEFも術後虚血側で改善していた。頭部挙上に伴う虚血側のrSO2低下は脳循環スクリーニングあるいは急性期虚血性脳血管障害症例における安静度を考慮するうえで有用ある可能性が示唆された。(著者抄録)