2005年
『清浄道論』における「智慧の修習」の成立―ブッダゴーサの編集作業と「智慧の修習」の構造―
宗教研究
- 巻
- 344
- 号
- 1
- 開始ページ
- 49
- 終了ページ
- 71
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.20716/rsjars.79.1_49
- 出版者・発行元
- 日本宗教学会
『清浄道論』は紀元後五世紀前半に活躍したブッダゴーサにより著された。先行研究によれば、ブッダゴーサは、『清浄道論』を著すに際して、ウパティッサ作『解脱道論』を参考にしたとされる。しかし、これまで顧みられなかったブッダゴーサの編集方法を調査することによって、次のことが明らかになる。ブッダゴーサは単に『解脱道論』を踏襲しただけではなく、『解脱道論』には存在しない「三種の完全知」という概念を『清浄道論』に導入し、「三種の完全知」の構造に沿って『解脱道論』を取捨・改変・増広して『清浄道論』の「智慧修習論」を編纂した。その結果、「四諦」観察を重視する『解脱道論』に対し、『清浄道論』は「無常・苦・無我」や「空」の観察を中心とすることとなった。ブッダゴーサの編集作業によって確立した「三種の完全知」がスリランカや東南アジアに広まる「テーラヴァーダ仏教」の正統的な修行方法を代表し、その思想的特質を端的に示すものとなったのである。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.20716/rsjars.79.1_49
- ISSN : 0387-3293
- CiNii Articles ID : 110002826641
- CiNii Books ID : AN00406454