2006年
Drainage Layout of Khmer Temples in the Angkor Complex: Orientation of the drains and the methodology of the drainage system arrangement
日本建築学会計画系論文集
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- 巻
- 605
- 号
- 605
- 開始ページ
- 207
- 終了ページ
- 213
- 記述言語
- 英語
- 掲載種別
- DOI
- 10.3130/aija.71.207_1
- 出版者・発行元
- 日本建築学会
本稿は、アンコール地域における堂山型及び平地型寺院の排水システムに関する研究である。バイヨン寺院の排水システムに関する先の研究結果を踏まえ、本研究では対象を拡大して、17の遺構における排水方法、排水溝の配置と方位、並びにその排出口の形状について類型化を試みている。研究の結果を要約すると、1)アンコール遺跡に現存する排水システムは、建設当初より計画的に配置された排水溝と、これを改良して新たに付加された排水溝とから構成されている。建物が未完成である場合には、排水溝もまた未完成である。2)雨水排出の方法は六つのタイプに分類される。3)排水口の形状は四つのグループに大別される。また、一つの遺構内に数種の形状が混在する場合も見受けられる。4)排水溝の方位に関しては、以下の二つに分けて考える必要がある。a)宗教儀式のための排水方位には、北、北東、及び東西南北の四方という三種類がある。b)雨水排出のための排水方位には五種類がある。5)バイヨンはいわゆる堂山型の寺院であるが、他の堂山型と平地型の寺院と比較するとクメール建築の500年間の歴史を通じて、様々な排水システムのタイプが発展したことが解明された。クメール遺跡の崩壊には多様な因子が相関しながら影響を及ぼしているが、その中の一つとして排水システムの機能不全が挙げられる。将来的な遺跡保護計画の考案のためには、効果的な排水システムの整備が必須かつ急務の課題である。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.3130/aija.71.207_1
- ISSN : 1340-4210
- CiNii Articles ID : 110004799078
- CiNii Books ID : AN10438548