共同研究・競争的資金等の研究課題

2015年4月 - 2017年3月

中枢神経系活性調節がもたらす覚せい剤誘発精神運動症状の変化に関する研究

兵庫医科大学  教員研究費助成金  

担当区分
研究代表者
資金種別
競争的資金

ICR系雄性マウスにおける、覚せい剤(METH; 10 mg/kg, i.p.)単独投与による常同行動に対して、aripiprazole(1, 10 mg/kg, i.p.)の前投与(30分前)は、有意にその異常行動発現の頻度を低下した。また、METH投与により常同行動がピークに達してのち、マウスを一度測定チャンバーから取り出してaripiprazole(0,1, 1, 10 mg/kg, i.p.)の後投与を行っても、有意にその異常行動発現の頻度を低下させることを見出した。METHによる異常行動は、aripiprazoleの投与濃度に依存して、噛み行動(0 mg/kg aripiprazole)→繰り返し嗅ぎ行動(1 mg/kg aripiprazole)→異常行動無し(鎮静化)(10 mg/kg aripiprazole)と変化した。このことは、向精神病薬aripiprazoleは、METHによる急性異常行動発現に対する有効な治療効果を発揮する薬物である可能性を示唆するものである。
アルツハイマー型痴ほう症治療薬memantine(NMDA型グルタミン酸受容体拮抗薬)がICR系雄性マウスにおいて「繰り返し嗅ぎ行動のみ」の常同行動を濃度依存的に引き起こすことから、覚せい剤誘発常同行動とmemantineの場合とでメカニズムが違うかどうか調べる目的で、選択的ドーパミン受容体拮抗薬などを用いて検討したところ、haloperidol(ドーパミンD2受容体遮断薬)やbetahistine(ヒスタミンH3受容体遮断薬)で有意に抑制されることを見出した。また末梢循環系へのmemantineの影響を検討する目的でマウスの収縮期血圧を測定したところ、memantine投与の影響は認められなかった。現在、memantineに対する嗜好性の有無や、脳内モノアミン含量変化を検討しており、現在までの知見を学会発表している。