2011年4月
哺乳動物のGDE群とマウスGDE5の非酵素的機構による骨格筋分化制御
脂質生化学研究
- 巻
- 53
- 号
- 開始ページ
- 208
- 終了ページ
- 209
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 日本脂質生化学会
グリセロホスホジエステルホスホジエステラーゼ(GDE)はグリセロリン脂質の分解産物であるグリセロホスホジエステルを、グリセロール3-リン酸とアルコール、またはグリセロールとアルコールのリン酸エステルとに分解する酵素である。大腸菌GDEの生理的役割は環境中の炭素とリン酸の利用であるが、哺乳類のGDE群はより多彩な生理的役割を有することが分かってきた。本研究において、精製マウスGDE5はグリセロホスホジエステルの中でグリセロホスホコリンを選択的に加水分解すること、および骨格筋の分化を制御することが示された。ノーザンブロットの結果から、マウスGDE5は筋組織に多く発現しており、萎縮骨格筋では正常な骨格筋に比べて減少していることが分かった。またC2C12筋芽細胞においてRNAiを用いてGDE5の発現を抑制すると、筋細胞への分化が誘導された。これらのことからGDE5発現を抑制することで筋萎縮症の進行を遅らせる可能性が示唆された。さらに、GDE5を強制発現させると筋分化が抑制された。ところが予想に反して、酵素活性を持たない変異型GDE5を強制発現させても、同様の抑制効果を示した。この結果からGDE5がグリセロホスホコリンを分解する酵素活性にはよらない機構で、骨格筋の分化を負に制御する可能性が示された。(著者抄録)
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 0285-1520
- 医中誌Web ID : 2012000536
- J-Global ID : 201102210651443991
- CiNii Articles ID : 10028179005
- CiNii Books ID : AN00102325
- identifiers.cinii_nr_id : 9000018696297