2019年4月 - 2022年3月
メンタルヘルス不調者の復職支援要請システムの開発と評価
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本研究の目的は,メンタルヘルス不調者が復職過程で受ける上司からの有効な支援内容を解明し,適切な支援を受けるための「復職支援要請システム」を開発することである。
初年度は,復職過程で実際に役に立ち有効であった支援内容を明らかにするため,復職後半年以上の安定した就労を継続できているクライエント10名にインタビュー調査をおこなった。調査は復職過程における上司からの支援について,復職前から復職後の安定した就労の再確立までを時系列に沿って問う半構造化面接であった。結果は逐語録として起こし,個人の人生を時間と共に描くことを目標とする質的分析方法の複線径路等至性アプローチを用いて分析し以下の結果を得た。
休職前に【心身の不調】を示すが,【上司とのコミュニケーションは十分にとられない】ことが多く,不調者は【自責感】を強め,【気持ちに余裕がない】状態が続いた。休職中の上司や産業医との定期面談やメールのやり取りは,【職場への帰属意識の維持】や【職場復帰に向けたモチベーションの維持】に役立つ一方,【面談に行くことのつらさ】を感じた。【復職への不安】を経て【復職】後,【仕事が無い】時期には【人の感情に敏感に反応し繊細】であった。【業務負荷がかかってくる】,【責任を持たされる】時期に分岐点が見られ,【モチベーションを保てる】,【上司から信頼されていると感じる】場合と,【根本的な解決に至っていない】思いを抱き,再休職する場合とがあった。前者はその後,上司から【主体性を重んじられる】,【評価される】という経験をし,徐々に上司とのコミュニケーションの頻度が増し,【職場での存在意義を感じる】ことが増え,【上司の期待に応えるためにどうすればいいか考える】状態に至り,【半年以上の安定した就労継続】を実現していた。さらに【仕事への向き合い方が前向きになる】ことが本人にとっての等至点であることが示された。
初年度は,復職過程で実際に役に立ち有効であった支援内容を明らかにするため,復職後半年以上の安定した就労を継続できているクライエント10名にインタビュー調査をおこなった。調査は復職過程における上司からの支援について,復職前から復職後の安定した就労の再確立までを時系列に沿って問う半構造化面接であった。結果は逐語録として起こし,個人の人生を時間と共に描くことを目標とする質的分析方法の複線径路等至性アプローチを用いて分析し以下の結果を得た。
休職前に【心身の不調】を示すが,【上司とのコミュニケーションは十分にとられない】ことが多く,不調者は【自責感】を強め,【気持ちに余裕がない】状態が続いた。休職中の上司や産業医との定期面談やメールのやり取りは,【職場への帰属意識の維持】や【職場復帰に向けたモチベーションの維持】に役立つ一方,【面談に行くことのつらさ】を感じた。【復職への不安】を経て【復職】後,【仕事が無い】時期には【人の感情に敏感に反応し繊細】であった。【業務負荷がかかってくる】,【責任を持たされる】時期に分岐点が見られ,【モチベーションを保てる】,【上司から信頼されていると感じる】場合と,【根本的な解決に至っていない】思いを抱き,再休職する場合とがあった。前者はその後,上司から【主体性を重んじられる】,【評価される】という経験をし,徐々に上司とのコミュニケーションの頻度が増し,【職場での存在意義を感じる】ことが増え,【上司の期待に応えるためにどうすればいいか考える】状態に至り,【半年以上の安定した就労継続】を実現していた。さらに【仕事への向き合い方が前向きになる】ことが本人にとっての等至点であることが示された。
- ID情報
-
- 課題番号 : 19K03332
- 体系的課題番号 : JP19K03332