共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

転写因子MITFの咀嚼筋発達過程における役割と発育不全に対する新規治療法の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K11977
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

咀嚼筋の発育不全は咬合異常や顎運動機能の低下を招くことが知られている。咬合異常や顎運動の機能低下は、認知機能の低下や生後発達期のさまざまな器官 の形成に影響を及ぼす可能性がある。
本研究で用いるモデルマウスである mi/miマウスは、ベーシック・ヘリックス・ループ・ヘリックス(bHLH) 構造を持つ MITF(Microphthalmia-associated transcription factor; 小眼球症関連転写調節因子)に突然変異があり、小眼球症、難聴、アルビノのほか、無歯顎で咬合活動が低下していることが明らかになっている。
近年、MITFは、さまざまな細胞や組織に存在し、細胞の増殖、分化、生存、エネルギー代謝などにおいて重要な役割を果たしていることが明らかになってきている。心筋では、MITF がクロマチンモデリング複合体と共にGATA4などの心筋形成因子のエピジェネティクス制御に関与することが示唆されている。骨格筋でも発現していることが報告されているが、その生理的役割についての詳細な報告はない。
今回、我々が行った実験において、β-ARの慢性刺激により誘発される骨格筋肥大に対するMITFの役割を明らかにするために、クレンブテロール[β2-AR(骨 格筋 の主要なサブタイプ)アゴニスト]投与による骨格筋肥大に対するMITF変異の影響を解析した。
野生型マウスの咬筋、前脛骨筋では、筋線維横断面積が有意に増加し、肥大がみとめられたが、mi/miマウスでは、肥大がみとめられなかった。また、 mi/miマウスでは野生型マウスと比較して、咬筋、心筋では有意に線維化の上昇がみられたが、前脛骨筋、ヒラメ筋においては、線維化がみとめられなかった。また、mi/miの咬筋および心筋ではWTと比較してアポトーシスの増加がみとめられた。

ID情報
  • 課題番号 : 17K11977