講演・口頭発表等

2018年9月

LA-ICP質量分析法による炭酸塩鉱物のU-Pb年代測定技術の開発

2018年度日本地球化学会第65回年会
  • 横山 立憲
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  • 國分 陽子
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  • 三ツ口 丈裕
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  • 村上 裕晃
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  • 平田 岳史
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  • 坂田 周平
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  • 檀原 徹
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  • 岩野 英樹
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  • 丸山 誠史
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  • Chang, Q
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  • 宮崎 隆
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  • 木村 純一

記述言語
日本語
会議種別
開催地
西原

炭酸塩鉱物は岩盤中に普遍的に産出し、その地球化学的情報、年代学的情報は、地質環境変遷を解読する上で有用な制約因子となる。炭酸塩鉱物は累帯構造を持つことがあり、LA-ICP-MS法などの局所領域分析手法を用いて、累帯ごとの元素・同位体組成を分析することにより、その炭酸塩鉱物を沈殿させた水の起源やその組成及び生成年代の範囲を明らかにできる。一方で、炭酸塩鉱物のU-Pb年代測定は、U-Pb系への適応性の低さと標準試料が未選定という二つの未解決課題があった。本研究では、炭酸塩鉱物のU-Pb年代測定技術の確立のため、同位体イメージング分析手法を適用し、事前にU及びPbの元素・同位体分布を把握することで、U-Pb系への適応性の低さを補完した。また、標準試料の選定と開発を進めるとともに、現段階で最も有効と判断されるWC-1(254.4$\pm$6.4Ma; Roberts et al., 2017)を標準試料として採用した。手法の有効性を確認するためウミツボミ(示準化石)試料の$^{238}$U濃度が高く、$^{206}$Pbの蓄積が顕著な領域についてU-Pb年代測定を実施した結果、得られた年代値はこの試料の棲息年代と整合的であった。したがって、本手法を用いた方解石質試料の年代測定は、少なくとも約250$\sim$350Maの年代において有効と結論できる。さらに、誘導結合プラズマ部での酸化物生成率を低減させた条件下では、試料のマトリックスの違いに起因した元素分別の補正を施すことなく、精確な年代値が得られることが判明した。