2016年4月
高濃度セボフルランにより促進心室固有調律が出現した2症例
日本歯科麻酔学会雑誌
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- 巻
- 44
- 号
- 2
- 開始ページ
- 142
- 終了ページ
- 146
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)日本歯科麻酔学会
高濃度セボフルラン使用中に促進心室固有調律(以下AIVR)が出現した小児の2症例を報告する。症例1:8歳男児。基礎疾患に自閉症がある以外特記すべき既往はなく12誘導心電図を含む術前検査にも異常は認めなかった。全身麻酔下に歯科治療が予定された。麻酔導入は8%セボフルランと67%亜酸化窒素で行った。導入開始直後、心電図がwide QRSを示しST低下を伴った波形を認めた。その後セボフルラン投与を1%程度まで低下させプロポフォールを併用し麻酔維持を行った。術中、一時的なwide QRSが6回出現した。処置終了後セボフルラン投与を中止し覚醒時には正常洞調律へ復帰していた。症例2:15歳男児。基礎疾患にダウン症候群があり既往歴に心室中隔欠損症根治術後、慢性骨髄性白血病(寛解中)、環軸椎亜脱臼固定術後があった。全身麻酔下に歯科治療が予定された。麻酔導入は8%セボフルランと67%亜酸化窒素で行った。モニター心電図ではST低下を認め、間もなくしてwide QRSを伴う波形に変化した。その後、全静脈麻酔(以下TIVA)に切り替え麻酔維持を行った。ST低下は残存したものの、wide QRSは出現から2分後に消失し以降出現はなく、覚醒とともにST低下も正常化した。われわれの経験した2症例では、高濃度セボフルランにより心臓交感神経活動が抑制され洞自動能抑制が起きた結果、AIVRが出現した可能性が考えられる。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0386-5835
- 医中誌Web ID : 2016240573