2018年
ピエール・ブルデューの『世界の悲惨(La misere du monde)』と教育学研究におけるその重要性
大阪大学教育学年報
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- 巻
- 号
- 23
- 開始ページ
- 137
- 終了ページ
- 149
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.18910/67867
- 出版者・発行元
- 大阪大学大学院人間科学研究科教育学系
翻訳 / 上林, 梓 小川, 竜冴 近藤, 凜太朗 林, 宮玉本論は、2016年11月9日に大阪大学・人間科学研究科において行われたL.ヴィガー氏(ドルトムント工科大学・教授)の講演を翻訳したものである。講演のなかでは、ドイツの教育学におけるP.ブルデューの『世界の悲惨』(1993)の位置づけと意義が中心に論じられた。1997年に出版された『世界の悲惨』ドイツ語版は、その政治的な影響力だけがクローズアップされ、学術的には正当な評価がなされてこなかった。しかしながら、ドイツの教育学におけるその重要性は、次の五つの根拠によって示された。すなわち(1)単一の理論的な立場への偏りを回避する(2)理論形成と合理的で経験科学的な方法とを兼ね備える(3)公的な政治的介入のみならず学術的な目的の措定をも含む(4)標準化された経験科学的な研究に対して批判的な立場をとる(5)インタビュアーとインタビュイーが共通してもつ条件を省察する。本論の最終節では、ドイツにおける教育実践や教育学研究、そのなかでも特に、人間形成諸理論とかかわるビオグラフィ研究の領域における、『世界の悲惨』の重要性を示す根拠が示され、さらには、その理論と方法の応用可能性が検討されている。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.18910/67867
- ISSN : 1341-9595
- CiNii Articles ID : 120006414453
- CiNii Books ID : AN1055404X