2005年3月27日
河川氾濫原堆積物中の土壌シードバンク組成
日本生態学会大会講演要旨集
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河川氾濫原における土壌シードバンクの分布パターンを規定する要因として地上部植生の分布の他にも、河川水流による浸食・堆積作用が強く作用していることが予想される。本研究では茨城県つくば市を流れる低地河川である桜川氾濫原における土壌シードバンクの分布状態を明らかにし、そのパターンの形成要因を探ることを目的とした。 サンプルは2004年4月下旬に採取した。水流影響が異なると予測される22の河川微地形区分(低水敷、高水敷をさらに平面図形上の相対的位置と見かけの土砂粒径組成で区分したもの)ごとに表層堆積物を採取し、堆積物粒径組成および、実生発生法によりそこに含まれる土壌シードバンク組成を計測した。分析には序列化手法であるDCA および分類手法であるTWINSPANを用いて、土壌シードバンク組成のパターンを見出し、河川微地形区分および堆積物粒径との関連を調べた。 発芽した実生は全100種、6484個体であり、土壌中の種子密度は最大で465.2seeds/L、最小で0 seeds/L、平均82.5 seeds/Lであった。氾濫原堆積物中の土壌シードバンクには河川微地形区分により明確なパターンが認められ、大きくは種数・種子密度共に少ない低水敷内の中州礫河原・砂堆のグループと、種数・種子密度共に多い低水敷内の微高地および高水敷上のグループに分かれた。種組成の変化は表層堆積物の粒径組成と相関が認められたが、礫河原であってもマトリックス中にシルト・粘土質の細粒土砂が多く含まれるサンプルにおいては種数・種子密度の多いグループと近い種組成を示した。これらのパターンを元に氾濫原内土壌シードバンクの形成要因としての水散布の可能性を論じる。
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