2021年4月 - 2024年3月
光誘起電荷分離効率化による高効率有機蓄光システムの実現
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
蓄光材料は吸収した光エネルギーを電荷として蓄え、徐々に再結合することによって長時間の発光を可能とする。無機結晶にドーパントを加えた既存の無機蓄光材料に対して、我々が開発した有機蓄光材料はアモルファス状態で機能し、溶解性・柔軟性といった無機材料とは異なる機能を有する。一方で、無機材料に比べてキャリア間のクーロン相互作用が大きい有機材料では電荷分離効率が悪く、蓄光発光も向きに比べて弱い。
本年度は、有機蓄光システムにおける電荷分離状態のクーロン相互作用低減のために、イオン性材料について検討した。電気的に中性の分子を利用した場合、電荷分離状態は電子ドナー材料の1電子酸化状態(ラジカルカチオン)と電子アクセプター材料の1電子還元状態(ラジカルアニオン)となる。一方、カチオン性アクセプターを用いた場合、1電子還元状態は中性ラジカルとなるため、キャリア間のクーロン相互作用が低減し、再結合過程の抑制が期待される。
実際に、フォトレドックス触媒としてよく知られるカチオン製分子TPPと、中性の有機半導体分子TPBiを用いて有機蓄光システムを構築した結果、良好な蓄光特性が得られた。また、このシステムではこれまでの電子が拡散する有機蓄光ではなく、ホールが拡散していると考えられる。一般的には有機材料のラジカルカチオンの方がラジカルアニオンに比べて反応性が低く、電荷分離状態の安定化に寄与してると考えられる。さらに電荷トラップ材料を添加することで、より効率的な蓄光発光を得ることに成功した。この電荷分離状態は酸素との反応が抑制されるため、大気下でも機能することが確認された。
本年度は、有機蓄光システムにおける電荷分離状態のクーロン相互作用低減のために、イオン性材料について検討した。電気的に中性の分子を利用した場合、電荷分離状態は電子ドナー材料の1電子酸化状態(ラジカルカチオン)と電子アクセプター材料の1電子還元状態(ラジカルアニオン)となる。一方、カチオン性アクセプターを用いた場合、1電子還元状態は中性ラジカルとなるため、キャリア間のクーロン相互作用が低減し、再結合過程の抑制が期待される。
実際に、フォトレドックス触媒としてよく知られるカチオン製分子TPPと、中性の有機半導体分子TPBiを用いて有機蓄光システムを構築した結果、良好な蓄光特性が得られた。また、このシステムではこれまでの電子が拡散する有機蓄光ではなく、ホールが拡散していると考えられる。一般的には有機材料のラジカルカチオンの方がラジカルアニオンに比べて反応性が低く、電荷分離状態の安定化に寄与してると考えられる。さらに電荷トラップ材料を添加することで、より効率的な蓄光発光を得ることに成功した。この電荷分離状態は酸素との反応が抑制されるため、大気下でも機能することが確認された。
- ID情報
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- 課題番号 : 21H02020
- 体系的課題番号 : JP21H02020