共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2022年3月

うつ病の病態および発症機序に関連したバイオマーカーによる診断法の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
17H04252
体系的課題番号
JP17H04252
配分額
(総額)
16,900,000円
(直接経費)
13,000,000円
(間接経費)
3,900,000円

ストレス負荷モデル動物において、セロトニントランスポーターのユビキチン化レベルが変化するかどうか、その機序解明について検討を行った。電気刺激によるストレス負荷により、マウス前頭皮質においてセロトニントランスポーターのユビキチン化レベルの低下が認められた。そこで、電気刺激による遺伝子発現変化について検討を行ったところ、マウス前頭皮質においてセロトニントランスポーターmRNAの変化は認められなかったが、セロトニントランスポーターのユビキチン化に関わるMelanoma-associated antigen-D1 (MAGE-D1)mRNAの低下が認められた。さらに、電気刺激中の前頭皮質の細胞外セロトニン量をマイクロダイアリシスにより測定したところ、セロトニン遊離量が持続的に増加していた。以上の結果より、ストレス応答により、MAGE-D1の発現が抑制され、セロトニントランスポーターのユビキチン化が低下し、その結果としてセロトニントランスポーターの分解が抑制され、前頭皮質より遊離されたセロトニンの再取り込みが低下したことが示唆される。また、同意を得た成人男性と女性から、EDTA入り採血管に末梢血を採取し、血小板分画中のユビキチン化セロトニントランスポーター量をウエスタンブロット法により定量した。ユビキチン化セロトニントランスポーター量は気質性格検査(TCI)において女性では損害回避のサブスコアと負の相関が認められた。損害回避はセロトニンと関連することが示唆されている。以上の結果からうつ病の気質とユビキチン化セロトニントランスポーターは関連性が認められ、うつ病の診断法への応用が期待される。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17H04252
ID情報
  • 課題番号 : 17H04252
  • 体系的課題番号 : JP17H04252