共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2024年3月

フランス絶対王政末期における身分社会への包摂をめぐるポリスの実践

日本学術振興会  科学研究費 若手研究  若手研究

課題番号
19K13383
体系的課題番号
JP19K13383
担当区分
研究代表者
資金種別
競争的資金

本研究課題は18世紀パリを対象とし、フランス絶対王政期の統治構造の特徴である「社団的編成」の埒外に存在した周縁的社会集団に着目し、都市統治一般を意味するとともに秩序維持を担っていた「ポリス」側が彼らをいかに社会内部に包摂あるいは排除したのかの解明を目的とするものである。
令和3年度前半は引き続き、令和2年度までにフランス国立図書館で収集した史料の整理、そして解読と分析を行った。特に、絶対王政の基本的な社会構造「社団的編成」から宗教的に逸脱した社会集団としてのユダヤ教徒の統治をめぐるポリス側の記録である。同時に、前近代フランスにおけるユダヤ教徒の政治的・社会的位置づけの変遷を把握するため、ユダヤ教徒についての先行研究を網羅的に把握することに努めた。
そのうえで、本課題代表者は夏期休暇中にフランス国立図書館等に赴き、史料拡充に努める予定あったが、令和2年度に引き続き、新型コロナウィルス感染症拡大のため令和3年度も渡仏は断念した。フランス国立図書館では、手稿史料電子化が飛躍的に進んではいるものの、本研究課題に必要な史料の一部は現地でのみ閲覧可能であったため、令和元年の現地調査で入手済みであった史料の解読と分析と平行し、今後の現地調査で閲覧すべき史料リストの作成に努めた。
令和3年度後半には、本研究会課題の中間報告として、令和4年3月に開催された「日仏歴史学会第10回大会」において研究報告を行った。「社団的編成」の周縁に位置した社会集団「雑業者」「売春婦」「ユダヤ教徒」を取り上げ、ポリス側の実践が、社会への包摂の回路の役割を果たしていたことを考察した。これら史料の分析と考察は、令和3年度の主たる成果であり、当該学会での研究報告の要旨は、令和4年度6月発行の『日仏歴史学会会報』第37巻に掲載予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K13383
ID情報
  • 課題番号 : 19K13383
  • 体系的課題番号 : JP19K13383