共同研究・競争的資金等の研究課題

2004年 - 2005年

金属錯体を用いた超プロトン伝導体の創製

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)
  • 北川 宏
  • ,
  • 山内 美穂

課題番号
16350033
配分額
(総額)
15,900,000円
(直接経費)
15,900,000円

金属ダイマー骨格を有する金属錯体の結晶構造と電子構造の合理的制御により、超プロトン伝導体の開発を重点的に行った。多孔性のルベアン酸銅配位高分子で、金属錯体として初めての超プロトン伝導性が見出された。プロトン伝導性と水の含有量の関連を調べる目的で、熱重量分析と示唆熱分析を行った。熱重量分析から、R=-C_3H_7の配位高分子以外は、相対湿度(RH)に応じて水分子を吸収・放出することがわかった。常温、RH〜100%においては、多量の水(ダイマー当たり3分子)を含む。また、水分子が抜けるにもかかわらず、155℃まで粉末X線パターンが変化しないことから、配位高分子の骨格構造は保たれていることがわかった。したがって、プロトン伝導率の上昇は配位高分子中に含まれる水分子の量に依存しており、本配位高分子中で発現されるプロトン伝導性は少なくともポリマー中に含まれる水分子を媒介としていると考えられ、燃料電池の固体電解質であるナフィオンにおけるプロトン伝導の機構に類似しているものと推察される。他方、R=-C_3H_7の配位高分子は水分子を全く含有しないことがわかったが、氷と同程度のプロトン伝導性を示すことから、配位高分子の骨格構造自体にもプロトン伝導性があることが推測される。各試料のプロトン伝導度の温度依存性と活性化エネルギーを測定した。R=-C_2H_4OHの試料では、290K付近で活性化エネルギーが大きく変化した。固体NMRの測定により、配位高分子中に含まれる水分子の運動の自由度の凍結が関与していることが示唆された。プロトン伝導機構の詳細な解明の手掛かりとなることが得られた。