Research Projects

Apr, 2018 - Mar, 2021

全身性エリテマトーデスにおけるSOCS1の役割の解明と治療への応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

Grant number
18K08400
Japan Grant Number (JGN)
JP18K08400
Authorship
Principal investigator
Grant type
Competitive

本研究では、免疫寛容に重要な役割を担うJAK-STATサイトカインシグナル制御分子であるsuppressors of cytokine signaling (SOCS) 1の発現動態と全身性エリテマトーデス(SLE)の病態の関係の解明を目的とする。
昨年は、SLE病態における治療薬による病態改善と、その改善への過程における制御(抑制)の本質を明確にすることを試みた。ステロイドとメチル化酵素阻害薬アザシチヂン投与によって検討し、SLEの病態の改善とは「抑制」というよりはむしろ、免疫学的変化の平衡状態が保たれることである可能性が示唆された。その中心的役割を担う分子の一つがSOCS1であると仮定して、実験をさらに進めた。
制御性T細胞(Treg)の可塑性の亢進(Foxp3発現の低下,抑制機能の低下とサイトカイン産生性細胞への変化)によって、T細胞特異的SOCS1欠損マウスはSLEの病態を呈することを筆者は既に発表している。今度は、SOCS1トランスジェニックマウス(SOCS1 Tg)において、SLE病態が抑制されるかを検討した。SOCS1 TgにおいてSLE病態は抑制されず、対照と比べてむしろ増悪した。フローサイトメトリーでの解析にて、対照と比較してSLEを誘導したSOCS1 Tgにおいて、脾臓とリンパ節のCD4陽性T細胞からのIL-2産生細胞の減少とIFNgamma産生細胞の増加する一方で、Foxp3陽性細胞は増加していた。
SOCS1ノックアウトマウスとトランスジェニックマウスの結果から、SOCS1は恒常的に高発現でも低発現でもSLEが増悪した。また、その両者の機序にTregの抑制機能低下が関与する可能性が示唆された。免疫学的変化の平衡状態の観点の重要性が仮定され、SLE病態でのSOCS1発現の継時的変化について、患者検体を含めて、さらに詳細に検討し理解することが重要である。

Link information
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K08400
ID information
  • Grant number : 18K08400
  • Japan Grant Number (JGN) : JP18K08400