2021年
硫酸の三酸素同位体組成を用いたSO2排出抑制期におけるケミカルフィードバック機構の解明
日本地球化学会年会要旨集
- 巻
- 68
- 号
- 開始ページ
- 158
- 終了ページ
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.14862/geochemproc.68.0_158
- 出版者・発行元
- 一般社団法人日本地球化学会
大気中の硫酸の三酸素同位体組成は、大気中におけるSO2から硫酸への酸化過程における酸化剤の寄与率を反映して変動する。本研究では、グリーンランド南東ドームで採取された過去60年分のアイスコアを用い、その硫酸の三酸素同位体組成を分析することで、過去の大気化学反応の変化を復元した。硫酸の三酸素同位体組成は過去60年間で上昇し、SO2の液相O3酸化の寄与率が高くなっていたことを示した。硫酸の三酸素同位体組成の中和率やH+フラックスの変化とよく相関していた。SO2の液相O3酸化は酸性度が低いほど促進されることから、1980年代以降のSO2排出量の削減とアンモニア排出の増加による大気中酸性度の低下が促進の要因であると考えられる。このように、硫酸の三酸素同位体組成の分析によって、SO2排出規制にも関わらず硫酸エアロゾルの減少が鈍化するケミカルフィードバック機構の要因が、大気酸性度の低下によるSO2の液相O3酸化の促進であることが特定された。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.14862/geochemproc.68.0_158
- CiNii Articles ID : 130008129649
- CiNii Research ID : 1390290393638293504