廣田 龍平
基本情報
- 所属
- いろいろな大学で 非常勤講師
- 学位
-
博士(文学)(2021年3月 筑波大学)
- J-GLOBAL ID
- 201601000015444235
- researchmap会員ID
- B000266895
- 外部リンク
基本的な研究内容
文化人類学的・民俗学的に妖怪研究をしています。妖怪全体を捉える理論を構築するために、「存在論的転回」やアクターネットワーク理論などを視野に入れ、いろいろと作業をしています。事例としては18世紀末から21世紀までをカバーしています。
国内・国外での長期フィールドワーク経験もあります(トルコ共和国イスタンブル、岩手県大船渡市)。
最近進めている研究①:現代日本のネット怪談
21世紀現在、もっとも新しくアクティヴな妖怪・怪異が流通しているのは、少なくとも日本語圏ではインターネット上でしょう。ネットには、いわゆる「都市伝説」や「怖い話」が溢れかえっています。2ちゃんねる、まとめブログ、ツイッター、TikTokなど、そのプラットフォームもさまざまです。同様のことはアメリカなどの英語圏にも言えることで、英語ではおもに「クリーピーパスタ」と呼ばれる、都市伝説に似たジャンルの「怖い話」が流通しています。
プラットフォームを横断して変化・拡散していくネット上の「怖い話」は、しかし、十分に学術的に整理されているとは言えません。まずはその初出から普及までの詳細な記録が必要になりますし、それらを分析するための枠組みも必要です。また、クリーピーパスタなど海外の事例やそれを対象にした研究との比較も必要です。これらを「くねくね」や「きさらぎ駅」、「異世界」など有名なトピックを中心に論じようと思っています。
最近進めている研究②:日本における動物妖怪のアニミズムとアナロジズム
日本の妖怪のなかでも、とびぬけて事例が多いのが、キツネやタヌキなど、ふつうの動物が怪異をなすものです。少なく見積もっても数万のオーダーが記録されているでしょう。一般的に動物妖怪は「化ける」「化かす」「憑依する」の三技能があると言われ、また他には稲荷などのかたちで霊験をもたらすともされています。しかし現在の妖怪研究では、「憑依する」以外の「化ける」「化かす」がいったいどういう事態なのか、理論化できていませんでした。
ですが国外に目を向けると、動物が化けたり化かしたりする話は、おもにアニミズム圏内で伝わっていることが分かります。そして、アニミズムといえば過去四半世紀でもっとも理論化が進められてきた人類学領域の一つです。アニミズムによって、もっとも事例の多い動物妖怪を概念化することにより、民俗社会の存在論的な理解が進むと考えています。
さらに、憑依を可能にするアナロジズムとの関連性も考えたいと思っています。
その他、資料収集・論文執筆段階のもの
1980年代後半から1990年代にかけての、ホラー漫画雑誌における学校の怪談の流通。
近現代日本における異界や異世界概念の発展。
スピリチュアル界隈における妖怪の現れ方(ザシキワラシ、竜など)。
大学生の授業で集めた「怖い話」の分析。
英語を中心とした非日本語圏における妖怪研究の歴史と現在。
などなど……。
2020年ごろまでの研究
博士論文では、① 現代の「妖怪」概念を定義づけるのが「超自然」および「神との関係」であること、② 現代の妖怪研究を定義づけるのが人文科学と自然科学の区分であること、この2点に注目し、それぞれの前提を批判的に考察しました。
①に関しては、妖怪を「信じる」非近代的な人々にとって、妖怪の大半は超自然的ではなく、また神と別のカテゴリーに位置づけられることを論じました。そして、平田篤胤の時代から20世紀初頭にかけて、徐々に妖怪が超自然的であり、神と同じカテゴリーに入るという発想が浸透していったことを明らかにしました。
②に関しては、研究対象を「妖怪文化」と呼び、自然と切り分けるやり方が、非近代的な状況においては意味をなさず、妖怪は必ずしも「文化」とは言えないことを論じました。また、妖怪を非科学的な「俗信」とする見方についても、俗信がそもそも科学的なものから除外された残余カテゴリーであり一つの実体ではなく、科学それ自体を見ていかなければ近現代の妖怪を捉えられないことを指摘しました。
以上のように、現代の妖怪研究を支える「超自然」概念も、自然と文化の区分も使えないとすれば、どのように従来「妖怪」と呼ばれてきたものを描けるのかについて、21世紀のネット上に伝わる「くねくね」と、18世紀末~19世紀に広島で伝わっていた「バタバタ」という妖怪を事例として、人間などが構築する世界の外部から、人間が捉えることができず、また人間に対して無関心なものが滲み出てくるものを妖怪として定義しなおし、「怪奇的自然」と概念化することを提案しました。なお、博士論文では「くねくね」の部分を削除しましたが、単著『妖怪の誕生』(2022年5月)では復活させました。
主要な書籍等出版物
13-
青土社 2023年12月29日 (ISBN: 9784791776115)
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実生社 2023年10月23日 (ISBN: 9784910686103)
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彩図社 2022年11月29日
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青弓社 2022年5月27日 (ISBN: 9784787220943)
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森話社 2017年8月 (ISBN: 9784864051194)
主要な論文
24-
情況(第6期) 2(5) 61-67 2024年2月20日 招待有り
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世間話研究 (29) 1-53 2023年3月
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日本研究 63 85-111 2021年10月29日 査読有り
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早稲田文学 (1036) 70-78 2021年10月12日 招待有り
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Japanese Journal of Religious Studies 48(2) 321-339 2021年 招待有り筆頭著者
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現代思想 47(9) 90-201 2019年6月 招待有り
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現代民俗学研究 (6) 113-128 2014年3月 査読有り
経歴
8-
2022年9月 - 現在
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2022年4月 - 現在
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2021年9月 - 現在
-
2021年4月 - 現在
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2020年9月 - 現在
-
2017年4月 - 現在
-
2017年7月 - 2017年8月
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2008年4月 - 2009年3月
委員歴
3-
2017年1月 - 現在
-
2018年5月 - 2020年5月
-
2016年6月 - 2018年5月
主要な講演・口頭発表等
39-
話芸・パフォーマンスアートとしての実話怪談 2023年12月9日 招待有り
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日本民俗学会第 75 回年会 2023年10月23日 日本民俗学会
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國學院大學伝承文化学会秋季オンラインフォーラム「語り/話し研究の〈これまで〉と〈これから〉」 2022年12月10日 國學院大學伝承文化学会 招待有り
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慶應義塾大学人類学研究会 2022年度定例発表 2022年12月2日 慶應義塾大学人類学研究会; 三田哲学会 招待有り
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日本文化人類学会第54回研究大会 2020年5月30日
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世間話研究会 2018年12月15日
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現代民俗学会2018年度年次大会 2018年5月26日
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The Symposium “Collaborating with/for the Future: Emerging Natural-Social Sciences”. The 7th Annual Tsukuba Global Science Week 2016年9月19日
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日本文化人類学会 第50回大会 2016年5月29日
-
第849回東京都立大学・首都大学東京社会人類学研究会 2015年10月
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現代民俗学会 2015年度年次大会 2015年5月
MISC
18-
現代思想 2024年4月
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図書新聞 (3539) 2022年4月16日 招待有り
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現代民俗学研究 (14) 37-40 2022年3月 招待有り
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フィールドプラス (26) 18-19 2021年7月10日 招待有り
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怪と幽 (7) 164-165 2021年4月27日
-
怪と幽 (7) 50-53 2021年4月27日 招待有り
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世間話研究 (27) 77-91 2021年3月
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図書新聞 (3463) 2020年9月12日 招待有り
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怪と幽 (5) 56-57 2020年8月 招待有り
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たわらがた (仕舞号) 29-44 2020年5月
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たわらがた (実験号) 52-67 2019年12月
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たわらがた (創刊号) 14-20 2019年8月
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現代民俗学研究 (11) 94-96 2019年3月
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空亡 2 15-26 2018年8月
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世間話研究 25(25) 107-112 2017年6月
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現代民俗学研究 8 104-104 2016年3月 査読有り
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日本文化人類学会研究大会発表要旨集 2016 D12 2016年 査読有り
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日本文化人類学会研究大会発表要旨集 2016 D11 2016年 査読有り
担当経験のある科目(授業)
9共同研究・競争的資金等の研究課題
1-
2018年12月 - 2023年
社会貢献活動
8